みずのはての
タムラ ユウイチロウ
“みずのはての”
何月かの何回かの
海の
ただしい
海の
たましい
は
海に
刺されて爛れて
這い上がり
倒れ
泣いて私を抱きしめる
母の素肌の脈打つのと
水平線上の
タンカーのくすぶる灰と繋がる雲と
鳴いて
鳴いて
鳴いて
擦れ違うような
潮のまとわりつく塩の匂いが
鼻から通って脳に視せる
私の身体の虚弱を忘れされていた
世の
寛容と厳格の伝う幻覚
ひとひとつ、ひとつひとつ
ひとつながりではないような
全ての情動を
渦線を臨むこのときは
つい、このときばかり気にしている
皺だらけの五本の指を
擦り合わせては
海の
ただしい
海の
たましい
みずのはての タムラ ユウイチロウ @you_monodiary
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