第3話 バトルスタート
とらうまおさななじみ(かり)があらわれた!
だが、まだこちらにはきづいていない!
たたかう
ぼうぎょ
ようすをみる
にげる
落ち着け落ち着け。まだ焦る時間じゃない……あっちは俺に気付いてないんだ。冷静に状況を見極めろ。
たたかう
ぼうぎょ
→ ようすをみる
にげる
つきしろれんはようすをみた。
まず……あの子は本当に
「あっ、おはよ~」
「おはよう、同じクラスでよかったぁ」
「それより、式の時どうし……」
まてまて、声まで一緒じゃねぇか。朝の声はやっぱり聞き間違いじゃなかったのかよ! 顔と声が全くソックリって……そんなのあり得るのか?
辛うじて髪型は違うけど……あれ? あのツインテール解いたら髪の長さ一緒じゃね? いやいやまさか……話してるのは知り合いっぽいし……だったら別人?
いや、何かしらのつながりで中学から知り合いだったって可能性も捨て切れない。もしくは……ドッペルゲンガーか!
「じゃっ、席こっちだから」
やばっ、トラウマ幼馴染(仮)がこっちに近づいてくる。緊急回避だ!
素早く、だけどごく自然に頬杖をしていた顔を窓側に向ける。そう、それはまるで外から見える何かを眺めたかのような動き。カモフラージュ率は80%はあるだろう。そして、外を眺めつつ、横目でその姿を確認する。
座った席は……教壇の前か、これならこっちを見る機会は少なそうだ。とりあえず席が近くなくてよかった。しかし、まさか同じクラスとは……最悪だ。
おれが安心と落胆を同時に味わった時、教室にチャイムの音が鳴り響く。そして、それと同時に高倉先生が教室に入ってくると、教壇に手を置いて俺達を見渡す。
「はい、みなさん。入学式お疲れさまでした。改めまして、私は3組担任の
たかくらせんせいがじゅもんをとなえた。
自己紹介……その手があったか! ありがとう高倉先生。確かによく考えれば新1年生が自己紹介をするなんてごくごく有り触れた流れ、だがそれが俺の命を救ってくれる盾となる。
「――――――です。宜しくお願いします」
それからみんな順調に自己紹介を終えていき、ついにトラウマ幼馴染(仮)の出番が近付く。これで名前が一緒だったら……。
「じゃあ次お願いします」
「はい」
うわっ、目合わせないようにしないと。
ついにその出番がやってくる。くるっと後ろを振り返ったその顔はやはり彼女に瓜二つで、おれは目を合わせないように少し視線をずらして、横目で様子を伺う。
「中等部から上がってきました。
「はい、ありがとう。では……」
日城……恋? よっし。これで取り合えず別人だってことは確定した。本人じゃなくて一安心だ。だけど、問題はあの瓜二つな姿と声だよな……。別人だってわかってても反応はしちゃうと思うし、はぁ……これからどうなってしまうんだろう。
その後も、自己紹介は順調に続いていき、まぁ大体の人達の出身中や部活に特技、そういった情報を頭の中に詰め込んだ。
その情報は女性恐怖症だったおれには不可欠なもので、基本的には女の子には話し掛けないけど、その他もろもろ場面に応じて必要になってくる。要は、無愛想だけど話を振られたらきちんと返事はしますよ? 君が自己紹介で言った事も覚えてますよアピールだ。
女子に嫌われたら最後、平和な高校生活はないと思え。ネットで誰かが書き込んでた言葉。それを信用するわけじゃないけど、おれは心底平和に高校生活を送りたい。その為だったら保険は掛けるし、保険の保険も掛ける。それ位しないと、安心ができなかった。
「じゃあ最後に……」
高倉先生の声におれは立ち上がると、周りを見渡しながら挨拶をしていく。もちろん日城さんと目が合ったら、症状が出てヤバくなりそうだったから、視線の先に日城さんが来た瞬間瞬きしたり、速度を早めたりしてそれを阻止した。けど、目線は合わせなくても、相手がこっちを見てるかどうかはなんとなく分かる訳で……まぁ当たり前だけど、日城さんがっつり俺の事見てた気がする。
「はい。ありがとう」
ふう。なんとか乗りきった。
こうして、新たな船出の1日が終わった。この後は各クラスごとに2年の先輩が寮に案内してくれる。なんか、色々あったけど……(特にあの日城恋)まぁいい。今日この日から俺の、月城蓮の平和な高校生活が始まるのだ。そう、平和な…………あっ、やべっ、重要なこと思い出した。別人だと思って安心してたけど、
俺、朝に日城さんのパンツガン見したんだった……。
神様お願いします。どうかどうか……それをネタに脅されませんよーに!
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