私メリーさん。PKさんと戦ってみるの。
う〜ん……
「いまいちよくわかんないな」
「そうなの?」
そうなのだ。確かに今まで以上に動きやすいし、使い勝手もいい。けど……
「私、そもそもPSだけで戦ってるようなもんだから……」
あまり実感が湧かないのである。そもそも多人数を相手取ることすら久しぶりなのだ。正直腕が鈍ってるし戦い方も忘れてるよ。
「じゃあ、しばらくはリハビリかな?次のイベントは噂によると生産職限定みたいだし、ボクたち戦闘職のイベントは2ヶ月後だから期間はいっぱいあるよ」
「そうなんだ。ちなみに生産イベはどんな感じなの?」
「簡単に言ったら凄いのを生産してオークションに売って、その中でも高値が付いたTOP10にレア報酬がある……みたいな感じらしいよ」
ほ〜、オークションねぇ。戦闘職に売りつけるんだろうけど、ちょっと不平等じゃない?
「あ、掲示板で話題になってる噂だからね!噂!」
あそっか、リーク情報みたいな感じってことね!
「じゃあ、私たちはお金を稼ぎまくってオークションでいいアイテムを見つけようってことなのかぁ」
「そうかも、まあ生産メインのイベントだし、そろそろ第2陣も募集するらしいから初心者向けイベントじゃないかな」
「第2陣?思ったより早いね〜!」
「きみのせいだよ」
え
「きみが暴れすぎて公式動画を見た人がみんなやりたいって」
……スゥ〜……。
「……え?あれ、公式動画って……」
「この前のイベント、公式動画が上げられたんだよ。皆が『2:17に映ってる子の動きが凄い、この子だけ見たい』ってコメントしててね、それでメリーさんオンリーの動画があげられたんだよ」
……そういえば参加規約にも『参加すると公式チャンネルの動画に映る可能性がある』って書いてあったね。文句は言えないな……
「……なる……ほどね……確かに私ほぼ公式だけどさぁ……いや……うん……」
クラっとするな〜……。
--
あの後ニトちゃんとは解散して、私は東の森に居る。
この前掲示板に書いてあった「森にやべ〜PK?モンスター?がいる」っていう情報を見て気になっちゃったのだ。ガハ!
「っていっても、相手が調べるタイプのプレイヤーだったら私には来ないかもなぁ。そこまで強いなら私の事知ってそうだし……」
自称でもなんでもなく強いってことで有名だし、正直不意打ちでも避けられる。
ただ逆に言えば、強さで有名なせいでPKにはほとんど会わない。あいつらPKする癖に格上は避けるのよ。ほんと嫌になっちゃう。
それが分かっていても会いに来ているのは多分、単純に戦いたいのだ。その為に2つ、言い訳……もとい理由を用意してきたよ!!
ひとぉつ!
私の事、知らない説!
まあ単純に知らないなら襲ってくるよねっていう。
そしてふたぁつ!
相手、戦闘狂説!
正直こっちが本命。
掲示板でこの被害報告をした人ね、自分でもある程度強いって言ってたけど、多分そのパーティーって攻略班の中でも上位の【御影】さんなのよね。根拠もあるよ。スレを見た感じ怖がりっぽくて金欠で、同じ怖がりで金欠な御影さん本人に聞いたら「なんでバレたの!?」って言ってたからだよ。かわいいね。
この人は単純に世界設定を調べるのが好きであまりイベントには顔を出さない人なんだけど……まあ上位層ってこともあってPvPがかなり強いの。
試合を見たことがあるんだけど、PvPでも上位レベルで強いし、強さで見ても普通に有名。
まあとにかく、そんな人に喧嘩を売って4秒で殲滅。
検証マンも言ってたけど相当な化け物、それでかつ有名な御影さんに喧嘩を売るなんて戦闘狂にしか思えないのさ!!!
「まぁ、後付けだけど……」
後付けでもいいじゃない!私が戦いたいんだ!やるぜやるぜおれはやるぜ!
[side:???]
……敵は1人……うん、大丈夫そうかな?
そんな事を考えながら……ただ1人、森を我が物顔で闊歩する少女を見つめる。
しくじらなければ倒せる。そのはずだ……。
(その首……もらった……っ……!?)
ガキンッ!
何かがぶつかり合う音。
その音は明らかに自らの手元から鳴っており、どうやら自分の短剣は弾かれていたようだった。
「っ!うそでしょ!?」
私のスキルを見抜かれた!?バレないはずじゃ……!?
「あっ……ぶなかったぁ〜……」
安堵の声が聴こえる。どうやら私の短剣を簡単に弾いておいて「危なかった」とほざいているようだ。
いやいやいやいやありえないよ!!!私の能力はマップに映らず、気配を極限まで消せるんだよ!?そんな中で不意討ちを避ける……!?本当に人間?この人……!
「きみが掲示板で有名なPK……かな?」
「……ゆうめいなの?」
「ほんとにきみなら、ゆうめいなの」
ゆうめいらしい。
「どんなかんじで?」
「東の森でつよつよ攻略プレイヤーが数秒にしてPKされたって感じで」
「oh...わたしかも……」
……そんなのはどうでもいい。レスポンスを繰り返して居るけれど、実の所攻めあぐねている。
何しろ隙がないのだ。ただ突っ立っているだけなのに、その風貌はまるで阿修羅。
「……こないの?」
いけないの!!
この人、明らかにこれまで戦ってきた人と違う……。流石にこれは……。
「……いけないの……
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さくしゃです。
反省の2話連続投稿……すみませんでした……。
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