鸚緑の箱庭

序章 翡翠

湿った土の匂いが鼻を突く雨上がりの昼間。雨雲の隙間から太陽の日が差すカフェテリアで資料を漁っていた。「...眩しい」微かにそう呟いた黒っぽい服を着た青年は分厚くなったファイルをそっと閉じ街の方を見下ろした。約7年前から始まった緑害と呼ばれる現象により建物や道が、木や根などに覆われ緑に包まれた翡翠の世界が訪れた

進行が早いことから、各国が原因解明のため技術者を選び、選抜のチームを調査に向かわせたが、未だに原因を突き止めるには至っていない。極寒や砂漠といった特殊条件の中でも枯れないなどという観点から、最近では医療やバイオメカニズムの研究からの注目も集まっている...

そして、時代は進み人間の環境破壊が進んでいた時代から一変、緑の豊かな世界へと変わった。