人生を増やす

 オカルトではない。屁理屈である。


 楽しい事、というか記憶に残る事をしていたら、人生の総量は増えるのではないかと、唐突に思った。それなりに楽しく過ごしても、記憶に残らない、その場限りの娯楽で時間を潰していたら、後から思い出すことは出来ない。それが一月、半年と続けば、今年の私は何をしていたのか、ということになる。


 記憶に残る事、例えば、毎月旅行に出るものがあればどうか。

 一泊二日であっても、その効用は二日ではない。旅行は準備が一番楽しいと主張するものもあるぐらいで、一ヵ月前に予約したなら、その旅行までの一ヵ月楽しいものだ。じゃあ楽しさは一ヵ月か、と言えばそうでもない。旅行から帰り、少なくとも一週間は楽しいものであり、その後の人生においても、ああ、あそこ行ったなとか、また行こうかなとか、満足が続くものである。ただ二日旅行に行っただけで、一カ月以上の満足が得られる。それを毎月続ければ、一年後には一年半以上の満足が得られるではないか。実際に生きた時間より、多くの喜びを獲得できる。これすなわち人生を増やすことにならないだろうか。

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