146 一個150円

(帰り道、コンビニでどら焼きを買ってベンチで食べながら話すギャルちゃんこと有紗とオタクちゃんこと真野)


「あたしはいいよ、大人になったら実家のパーマ屋継げばいいんだから。大学進学がキツいだけで専門学校とかは別だろうし……でもマヤちゃんはどうするの?」


「なんとか……なんとか、大学に進めないか考えてみる。バカ高っていうけどそれは個人の資質とは関係ないわけで」


「まあそれもそうか。マヤちゃん頭いいからきっとできるよ。安請け合いしていいことでもないけど……それはともかくこのどら焼きクリームたっぷりでおいしい」


「商店街に、氷月ってお菓子屋さんあるじゃん」


「うん。あの入りにくい佇まいの」


「あのお店、うちの祖母のいきつけのお店で、お菓子を届けたいときはだいたいいつでもあのお店にお願いするんだけどね、あそこのどら焼きはどら焼きの概念が変わるよ、皮はふわふわであんこがきりっと甘いの」


「へえーおいしそー! いくらすんの? 高いんでしょ?」


「それがね、一個150円なんだ」


「このどら焼きより安いじゃん! 今度一緒にいこうよ!」


「じゃあクラス発表の帰りにでもいく?」


「やったー!」

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