138 手足

(有紗にイラスト雑誌を貸し出して嬉しくなっているオタクちゃんこと真野と、イラスト雑誌を真面目な顔で眺めるギャルちゃんこと有紗)


「この号はちょっと古いけど色鉛筆のメイキング載ってるから参考になると思うよ。ゆっくり好みの絵柄探してみて。そうだ、でっかいドールさんにモデルしてもらったら?」


「そうだね! 鉛筆で描いたのをミリペンでなぞるの?」


「なぞるっていうか、改めて線を描く感じ。ただなぞるだけだと消しゴムかけたとき違和感すごいから」


「そうなのか……とにかくやってみるね」


「うん。あ、もうこんな時間だ。それじゃ気をつけて」


「ありがと。ばいばーい」


(夜、宿題をしている真野に有紗からメール)


「マヤちゃん!! 線と手足がすっごい違和感!! 助けて!!」


(なんとか頑張って全身像を描いたイラスト)


「うおっいきなり頑張ってる、やっぱりスジがいい!」


「でも手足が上手く描けないよ〜」


「わたしだって手足は苦手だよ……そこはいっぱい描くしかないよ」


「うう……頑張ります……」


「頑張るというより楽しまないと。描きたいように楽しく描き散らかせばいいんだよ」


「そうだね! 楽しむ!」

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