112 黒豆

(クイーンサイズのベッドで手足をばたばたするギャルちゃんこと有紗とマットレスの分厚さに感動するオタクちゃんこと真野)


「わあーおふっかふか。サイコー!!」


「すごい……半端な家具屋じゃ買えないやつだよこれ……超ふかふか……」


「じゃあそろそろ明かり消して寝よっか。つかれたー!」


「そうだね、寝たほうがいいね……明日は大晦日かあ。アリサちゃんちは大晦日なに観るの?」


「お父さんの趣味で毎年格闘技観てるんだけど、ここ県境またいでるから格闘技流してる系列映んないんだよね。マヤちゃんちは?」


「ずーっと紅白。毎年紅白。だれも祖母に逆らえない。母や叔母を動員して毎年せっせとおせちこしらえて、やっと一息つくタイミングで紅白観る感じ」


「すごい……あたしんち大晦日とかお正月はコーラと高いアイスがせいぜいだよ……あ、黒豆は買ってきて食べるな」


「黒豆おいしいもんね」


「うん。あのさ、ずっと言いたかったけど、あたしと友達になってくれてありがとう。あたし、マヤちゃんのおかげでマジ人生変わった」


「わたしこそ、アリサちゃんのおかげで友達いない子じゃなくなったよ」


「友達って、いいね」


「うん!」

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