85 頒布物

(相変わらず書類を睨んで難しい顔をするオタクちゃんこと真野とギャルちゃんこと有紗)


「屋号……なんも思いつかないなあ……やっぱり『弱肉定食』の路線がいいと思うけど」


「あたしもそう思う。でも売り物の内容を反映させたほうがいいんじゃないかな」


「売り物っていうか頒布物ね……わたしはとりあえず編みぐるみ作ってる。いちおう編み図から」


「すごいじゃん、編み図からかあ。わたしは普通に着物作ってるよ。季節外れだけど浴衣が二着できてる。あとドールさんの服も少し」


「えぅ?! 浴衣?! すごい!!」


「すごくないよ、ひたすらまっすぐ縫うだけだもん。写メあるよ」


(有紗のケータイの画面を覗きこむ真野)


「おお……なかなか個性的な柄だ……かわいい」


「マヤちゃんの編みぐるみは?」


「うん、こんな感じ」


(真野のケータイの画面を覗きこむ有紗)


「わあパンダかわいい! ピンクのパンダはインパクトあるね」


「はけるかわからないけど何色も作って並べたらかわいいかなって」


「じゃあ『まっすぐ縫ってぐるぐる編む』は?」


「よさそうだね、でもちょっと長いから『まっすぐるぐる』は?」


「決定! それでいこう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る