60 満足

(口を滑らせたと後悔するオタクちゃんこと真野)


(すでに同人誌即売会というものに興味深々のギャルちゃんこと有紗)


「あぅ……アリサちゃんを誘うことじゃないよね、ごめん」


「ううん、おもしろそうだと思った。オタクのひといっぱいくるんでしょ? そこでドールの服とか売っていいの?」


「うん、服飾系サークルっていって、人間の服とかアクセサリーとかドール服とか売ってる。あとぬいぐるみとかも」


「おーたのしそー! やろうやろう! 隣町?」


「ううん。労働会館で年1でやってるよ。開催は冬だからもうすぐ画材屋さんに申込書置くと思う」


「そっか! ……あのさ、そこでリアル人間の洋服売って、売れたらファッションの仕事したいって夢は叶うわけだよね」


「い、いや夢が叶うかはわかんないけど、アリサちゃんが満足できたらそれでいいんじゃない?」


「よし決めた。リアル人間の服作って、ファッションのほうはそれで満足する! で、美容師になる!」


「まだ二年余裕あるよ?」


「そうだね、でも……やりたいことしっかり見据えないとさ。マヤちゃんめっちゃ勉強しなきゃないから、迷惑かけられないし!」


「あぅ……ありがとう」

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