50 隣町からの帰り道

(帰りの列車で真新しいバッグと浴衣の入ったショップバッグを眺めるオタクちゃんこと真野)


(疲れて眠い顔をしているギャルちゃんこと有紗)


「楽しかったね」


「うん、やっぱ隣町のデパートは違うー。えへへ、ドールさん名前どうしよ。早く開けたいなあ。その前にバイトかあ」


「え、きょうバイトあるの? 大丈夫?」


「ちょっと眠いけど平気だよ。元気元気。倉庫で酒瓶運ぶだけだしね」


「そっか、わたしも冬休みアルバイトしよっかな。祖母が『バイトするくらいならお小遣いあげる』とか言い出しそうだけど」


「えーマヤちゃんのおばあちゃんいいなー! あたしの生きてるほうのおじいちゃんおばあちゃんさ、お父さんをカンドー? してるから、会いにいけないんだ」


「か、勘当て。何やらかしたの?」


「んー家族の反対を押しきって美容師になって、そこまではよかったけどまたしても家族の反対を押しきってお母さんと結婚したんだー。それでおじいちゃんプッツンしたらしくて」


「自由に生きてるね。うちは勤め人だからなあ」


「それでいいんだよ。手堅く生きるの大事だよ。自由も大事だけど暮らしが大事だよ!」


「そうなの? そうなのかな、そうだね」

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