44 バッグ

(デパートを慣れた様子で見て歩くギャルちゃんこと有紗)


(きょときょとしながら歩くオタクちゃんこと真野)


「マヤちゃん、バッグだけでもゴスロリのにしたら? せっかく隣町に遊びにきたのに通学カバンっていうのは惜しいよ」


「そうだね……あ、これかわいいしいっぱい入りそう」


(革のがま口バッグを手に取る真野)


「おーいいじゃん!なんかレトロでかわいい!」


「これくらいなら祖母にも褒めてもらえるかな」


「マヤちゃんのおばあちゃん、厳しいの?」


「ううん。激甘。でも奇抜な服装は好きじゃないみたい。洋服とか見せると『いいの買ってきたわね〜』って言ってくれる」


「そうなんだー。あたしの親、基本的にファッションには関わってこないから、なに着ててもなんも言われないよ」


「そっか、なんだか寂しいね」


「んー、でもそういう家だから校則ぶっちぎってバイトしてても叱られないんだよ。それにファッション以外は結構うるさいよ」


「なるほど。アリサちゃんち、楽しそうだよね。わたし友達の家に泊まったのこの間が初めて」


「そっか、えへへ。おっ、あっちでプレタ浴衣のセールやってる!」


「えぅ?!(い、忙しい!!)」

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