力押しには力押しで
仲仁へび(旧:離久)
第1話
力がないと嘆いた人々は、答えを見つけた。
力さえあれば、いいのだと。
この世界には、虐げる者と虐げられる者がいる。
俺達は虐げられる者だから、地べたに這いつくばって生きていなければならない。
しかし、虐げる者は天空にある城で悠々自適に過ごしているのだろう。
やつらをこの地べたに落としたい。
空を飛ぶための羽をむしって、みじめにしたい。
けれど、どんなに願ったって、それを叶えるための方法がなければどうしようもない。
でも、ある日俺達は手に入れた。
強力な武器を。
空を飛ぶ、あの忌々しい羽虫を打ち落とすための、手段を。
谷底の、さび尽きた鉄のコンテナの中で。
どうしてそれがあったのか分からないけれど、俺達はその武器を使う事にした。
すると、その一撃は強力だった。
撃ち落されたち羽虫達は一瞬でバラバラになっていった。
もっと苦しむ姿を見たかったのに、それが叶わないのが不満だ。
でも、いい。
俺達の頭上でうるさくとびまわる虫なんて、いないに越したことないんだから。
そのうち、羽虫達はもっと上の方に逃げていった。
それで、二度と俺達の前に姿を現す事がなくなった。
ざまぁみろだ。
もしまた来るようなら、打ち落としてやる。
虐げられる者達から、思いがけない反抗をうけた者達は、空の果てでわずらわしい思いをしていた。
虐げる者達が遠い昔に落とした砲台が、拾われてしまったようだ。
しかし彼らは不快感をしめすだけで、慌てはしない。
技術の進んだ今なら、あの砲台よりもっと威力の強いものがあるからだ。
すぐに勢いついた地上の蟻たちを一掃できるだろう。
力がある。
だから負けはしない。
力押しには力押しで 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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