337:血祭り

 華さんと綾乃さんに連れられ、海へとやって来た。この地方では割と有名な海水浴場で、海の家なんかもしっかりあるちゃんとした場所だね。


 ただやっぱり、有名な場所なだけあって結構な人がいる。まぁ、今日は女装するわけでもないし、その辺りは平気かな?


「それじゃあ早速着替えてきちゃいましょうか!

 これ、昨日買った優希くんの水着が入ってる袋です。

 着替えが終わったらあそこの海の家の前に集合しましょう!」

「ありがとうございます!ぱぱっと着替えてきちゃいますね!」


 そうして僕は水着を受け取り、更衣室へと向かった。


「ふふふ⋯⋯楽しみですね。

 優希くんの水着姿」

「これがサービスシーンってやつなの」

「でも、優希くんはあの水着、ちゃんと着てくると思うの?」

「着てくれると思いますけどね?

 と言うか男性モノの水着なんて着たら絶対襲われますよ。

 それに大人しめのそれこそジェンダーフリーのものとかも入ってたはずですし」

「しかも男からも女からも襲われる可能性あるって怖すぎなの⋯⋯

 でもちょっとだけ普通の水着を着てる優希くんが見てみたいの」

「絶対えっちです。間違いないです。

 だから私は想像もしません!!

 絶対鼻血出ちゃいますから!!」

「自信満々に言われても困るの⋯⋯」

「優希くんを待たせる訳にもいかないですし、私達も着替えちゃいましょうか」

「それもそうなの」



 着替えスペースへと入った僕は水着の入った袋を開ける。


 すると、中から出て来たのは可愛いらしいデザインの水着だった。


 ⋯⋯女性用の。


「???」


 僕はきっと疲れているのかな?まさか水着を受け取ったら女性用だなんて、ありえないよね?


 しかもこの水着、店員さんが選んでくれたやつだよね?


「ん?何か入ってる?」


 よく見てみると何か小さなメモ書きが入っている。


「えーと⋯⋯男水着チャレンジなんてしてないでちゃんと可愛い水着を着るように!って書いてある⋯⋯」


「えーと⋯⋯つまりこれって」


「店員さんに性別間違えられたああああ!!!???」


 そんなことある!?聞いたことないよ!?

 それに男水着チャレンジって何!?そんなの聞いたことないよ!?


「ど、どうしよう⋯⋯」


 これを着る?僕が?


「いや、確かに前一回こういうの着た⋯⋯けど⋯⋯」


 流石に人前で⋯⋯着るなんて⋯⋯


『ゆかちゃんは何を着ても似合いますねー』


 華さんが、ふわちゃんがそう言っていた。


 だからきっと⋯⋯大丈夫なのかな。


 でも、流石にこれを着るのは⋯⋯


「うん。海の家で買ってこよう」


 だって僕は⋯⋯男なんだもん。



「お待たせしましたー!」


 僕は海の家でトランクスタイプの水着を購入すると、すぐに着替えて華さん達の待っている場所へと急いで向かった。


「あっ、優希く⋯⋯」

「そんなに待ってな⋯⋯」


 二人は僕に気が付くと⋯⋯


「「「「ぶふっっっっ」」」」


 物凄い勢いで鼻血を吹き出した。

 ついでに周りにいた女の人達も一斉に鼻血を吹き出した。


 わ、わぁ凄い⋯⋯これが血祭りってやつかな⋯⋯ってこれやばいやつだよね!?!?


「ど、どぼぢで⋯⋯」

「じょぜいようがっだばずな“の”」

「あ“っ、やばっ”」

「い“じぎが⋯⋯」

「「華さん!?綾乃さん!?!?」


 僕は大急ぎでパラソルを立てて、そこに二人を連れて行くことにした。


 ちょっと大変だったけどなんとかなってよかった。


「んっ⋯⋯あれ?私は一体⋯⋯?」


 膝枕で華さんを看病していると、華さんの意識が戻って来たみたい。


「あっ、大丈夫ですか?いきなり倒れて⋯⋯しかも凄い鼻血出てましたけど、顔とか打ってないですか?」

「エッ!?」

「華さん!?!?」

「あのあのあのあの、買って来た水着は⋯⋯?」

「店員さん、女の子用の水着入れてたんですよ!

 僕は男ですから!海の家で買って来たんです!」

「だ⋯⋯ダメに決まってるじゃないですかあああああ!!!

 ちょっと待っててください⋯⋯ええっと確かここに⋯⋯」


 ガサガサと華さんは自分の持って来ていた荷物を漁り、中からバスタオルを取り出した。


「とりあえず、これを羽織ってください!」

「は、はい⋯⋯」


 僕は言われるがままにバスタオルを羽織ると、華さんは何やら真剣な目付きで僕を見つめる。


「良いですか?優希くんは自分の可愛さを分かっていません!

 優希くんくらい可愛ければそれこそ男の人だっていけるかもなんて思っちゃう悪い人だっているはずです!」

「い、いやそれは流石にそれはないと思いますけど⋯⋯」

「あります!!」

「ぼくもそう思うの⋯⋯破壊力やばすぎなの⋯⋯女の子っぽい水着の中に割と大人しめのものがあったはずなの⋯⋯それでも良いから着替えたほうが良いと思うの⋯⋯」

「そ、そんなに変ですか⋯⋯?」

「変ではないんです。ただ優希くんが魅力的すぎるだけなんです。

 凄く美人な芸能人とかが、上半身裸だったり、下着姿でいたら大抵の人は見惚れるはずです。その対象が優希くんなだけなんです。それこそ、上着を羽織るだけでも良いんです!」


 華さんは凄く熱く語っている。そんなに僕が上を着てないだけで皆反応するものなのかな⋯⋯?


「ということは⋯⋯もしかして、華さんや綾乃さんも僕で⋯⋯興奮したんですか?」


 僕はかなり恥ずかしい気持ちを抑えつつ、羽織っているバスタオルで顔を隠しながらそう聞いてみた。


「「アッ」」

「華さん!?綾乃さん!?」


 すると⋯⋯また二人は死んだ。


----------

ネタ考え中の脳内

華「もしかして優希くんも、私の水着で興奮しちゃったんですか⋯⋯?」

綾乃「続きはFantiaでなの」


ぼく「書かんぞ!!!???」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る