大遅刻クリスマスSS

 華さんと会う事になった冬のある日。


「優希くん、今日は何の日かわかりますか?」


 集合した後、突然華さんが僕にそう問いかけて来た。


「えっ?今日って何かありましたか?」

「今日は12月23日、つまり、クリスマスイブイブです!」

「聞いたこと無いんですけど!?」

「だって私が考えましたし!」


 華さんは何故か自信満々にそう言うと、ドヤ顔をしていた。


「それで、今日僕が呼び出されたのは一体⋯⋯?」

「もちろん、クリスマスデートをするためです!」

「で、デート!?」

「といっても、本当のクリスマスは明日からですけどね⋯⋯」


 残念そうな口調でそう言う華さん。多分、明日から事務所の方でやるイベントがあるから、予定的に僕を今日呼んだ⋯⋯って感じなのかな?


 それにデートと言ってはいるけど、普段からこんなノリだし、きっと冗談だよね。うん。


「それでは早速行きましょうか!」

「どこに向かうんですか?」

「優希くんと言えば苺、なので美味しいお店をずっと探して来たんです!私のおすすめの苺のスイーツを扱ってるカフェへまずは行きましょう!」

「い、苺のスイーツ⋯⋯!楽しみです!」


 華さんのおすすめしてくれる物で外れた事は無いから、今回も期待出来そうで凄く楽しみ!


「さぁ、ここです!」


 華さんとタクシーに乗りやって来た場所は一目ではカフェと分からないような民家のような場所だった。


「ここですか⋯⋯?」

「隠れた名店ってやつなんです!

 とっても美味しいので期待してくださいね!」


 華さんが自信満々にそう言っているのを見て、僕は楽しみな気持ちが更に大きくなった。


 お店に入ると内装は確かにカフェで、ケーキのショーケースが真っ先に目に入った。


「美味しそう⋯⋯」

「このショートケーキやタルトが凄く美味しかったんです、是非優希くんにも食べて欲しいです!」


 華さんがそうおすすめしてくれたのは僕も見た瞬間に気になっていたケーキで、特に苺のタルトなんかは物凄く輝いて見えた。


「じゃあそれにしてみます!」

「えっと、私はこれと、これにしましょう!

 すいません店員さん、今はお店で食べていくことってできますか?」

「はい、大丈夫ですよ。どちらのケーキに致しますか?」

「この子がショートケーキと苺のタルト、私がベリーのタルトと苺のブリュレパフェでお願いします!」

「はい、ドリンクはどうされますか?」

「私はアールグレイのホットで、優希くんはどうしますか?」

「それなら僕は⋯⋯あっ、このホットベリーティーって言うのでお願いします!」

「アールグレイとホットベリーティーですね、かしこまりました。あちらのお席にお持ちしますのでお待ちください」

「「ありがとうございます!」」


 そして店員さんに促された席へ座ると、数分でドリンクとケーキが運ばれて来た。


「わぁ⋯⋯美味しそうです!」

「それじゃ、いただいちゃいましょうか!」

「はい!いただきます!」


 そしてまずはショートケーキを一口。


 濃厚な生クリームと、中に入っている苺のすっきりとした甘酸っぱさ、さらにふわふわとしたスポンジケーキ、この3つが織りなす幸せな味。これを食べただけで思わず僕の顔は綻んで、自然と笑顔が出て来てしまう。


「美味しいですっ!!」

「⋯⋯」


 何故か僕の顔を見て固まる華さん。


「華さん?」

「はっ!?優希くんが可愛すぎて思わずフリーズしてしまいました!とりあえず優希くんが喜んでくれて私も嬉しいです!」

「本当に美味しいです!華さんありがとうございます!」

「いえいえ!まだタルトもありますし、そちらも是非!」

「はい!」


 そして次はタルトにフォークを刺し、一口サイズにするとそれを口に運ぶ。


 口に入れた瞬間、苺とカスタードクリーム、サクサクしたタルト生地の香ばしい香り、それが口の中で広がった。


「これも美味しいです⋯⋯食べる手が止まらないです!!」

「ふふっ、気に入ってもらえて良かったです。

 ちなみにこのブリュレパフェも美味しいんですよ?

 はい、あーん」

「あーん⋯⋯ほわぁ!これ凄く美味しいです!」


 僕は何の違和感も無く、華さんからブリュレパフェを食べさせてもらった。


 そして、食べ終わった瞬間に気がついた。


「あっ⋯⋯」


 華さんは何事も無かったようにブリュレパフェを食べる。


「(か、間接キスしちゃった⋯⋯)」


 言わなければバレないと思っていたけれど、顔に出てしまったのか、華さんも流石に気付いてしまったようだった。


「はゎ⋯⋯」


 変な声を出しながら顔を真っ赤にする華さん。


 お互いに少し気不味くなってしまい、そこからはあまり会話もせずに食べ進めると、すぐにお店を出てしまった。


「優希くん、さっきはその⋯⋯ごめんなさい!」

「い、いえいえ!僕もその、無意識だったので⋯⋯」


 そう華さんが謝ってくるけれど、どちらかが悪いとかは正直無いと思うんだ。


「とりあえず、次行きたい場所あるので、そこに向かいましょうか!」

「は、はい!」


 そして華さんに連れられて買い物をしたりしていると、気が付けば夜になっていた。


 夜になるとイルミネーションなども出て来て、周りにいるカップルなんかは良い雰囲気になっていたり、少しこの場所にいるのが恥ずかしくなってくる。


「優希くん、私ずっと言わないとって思ってた事があるんです」


 そんな中で、華さんが顔を赤くしながらそう言った。


「言わないといけない事?」

「はい!私、ずっと優希くんの事を弟や妹を可愛がるみたいな感じで接して来ました。でも、私気付いてしまったんです」


「私は、優希くんの事が、一人の男の子として⋯⋯」



「って言うボイスドラマを作りたいと思うんですけど」

「ふわりちゃん、まずはゆかちゃんの本名と自分の本名出すのやめないかな????」


 妄想全開で書いたせいで名前を修正し忘れていました⋯⋯一生の不覚です⋯⋯

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