245:結果発表!

 ボク達の番が終わり控室に戻ったけれど、ボクの心臓のドキドキは全然収まらなかった。


「ゆ、ゆかちゃん、お疲れ様」

『は、Haruお姉ちゃんも、お、お疲れさま!』


 さっきの事もあり、なんとも言えない空気になってしまった。


「あ、あのね、ゆかちゃん、さっきはごめんね! 急にあんな事してびっくりしたよね⋯⋯」

『か、かなりびっくりしちゃった⋯⋯だけど、いきなりどうしてあんな事したの⋯⋯かな?』


 聞かない方が良いとも思ったけど、Haruお姉ちゃんが自分から話を切り出してくれた事もあって、ボクは聞いてみる事にした。


「え、えっとね、ダンスとかも上手く出来てたとは思うんだけど、インパクトが足りない気がして、あの曲をOPに使ってるアニメのOPのラストにあんな感じのシーンが入ってて、それを再現したら、結構いい感じになるんじゃないかなって思って、つい⋯⋯」

『な、なるほど⋯⋯つい、だったら⋯⋯なら仕方ない、よね!』


 ボクはただ恥ずかしかっただけと言うのもあって、気にしてないかの様に振る舞った。


「⋯⋯し、仕方ないよね」

『Haruお姉ちゃん?』


 Haruお姉ちゃんはなんだか残念そうな顔をしながらそう言ったんだけど、もしかして⋯⋯


『も、もしかして、ボクにああいう事するの嫌だった⋯⋯のかな?

 審査の為にって無理してたりしてないかな?

 大丈夫かな?』

「い、嫌だなんてとんでもないよ!?

 た、ただ、仕方ないで済ませるのは嫌だな⋯⋯って」

『そ、それって⋯⋯』

「わたし、誰かにああ言うことするの初めてだったから⋯⋯

 でもよく考えたら、おでこだしノーカンだよね!うん!」


 Haruお姉ちゃんはそんな事を言いながら笑った。


「そんな事よりも⋯⋯予選突破出来るかな?」

『出来ると、嬉しいな!』

「だね!」

「(突破出来れば、また優希くんと⋯⋯)」


 そして最後の予選参加者のステージも終わり、残すところ結果発表のみとなった。



【それでは今回のCosPa、WCS日本代表選考会への切符を賭けた、関東予選、まずは特別賞の発表から行きたいと思いますッ!】


 ナレーターがそう言うと、会場はかなりの盛り上がりを見せた。


 尊死者だった人もある程度復活してきたようで、人数も最初の時と大差はなく、みんな結果を見たくてウズウズしている様子。


【それでは、まずは協賛企業から、ミシンのプレゼントがされるシスター賞は⋯⋯⋯⋯この四人だああああ!!】


 まず最初に選ばれたのはミシンが贈られるシスター賞、これはミシンメーカーのシスターという会社の超高機能の最新ミシンが贈られるのだとか。


 受賞したのは有名な男性アイドルアニメのキャラのコスプレをした四人のユニットで、ミシンを貰ったリーダーと思われる人は、これで次はもっとクオリティアップに努めて次回、帰って来ますとコメントをしていた。


【そして次は関東TV賞だあああ!!】


 こちらも続けて発表され、一人の女性が選ばれた。

 この人の衣装はあの有名な演歌歌手、小○幸子の衣装を再現した大掛かりな物で、友人三人と作り上げたのだとか。


 ただ、クオリティは高かったけれど、全く本人が動けないのがネックで、TVの出演が確約されるこの賞に収まったようだった。


【最後に⋯⋯今回の優勝、そして日本代表選考会の出場切符を手にしたのは⋯⋯この二人だ!!!!】


 そして画面に映し出されたのは、ボクと、Haruお姉ちゃんの二人だった。


「う、うそっ!?」

『ぼ、ボク達が⋯⋯優勝!?』


【今回優勝が決まったこの二人、決め手はやはりあの尊死者続出のおでこキスでしょう!

 それに衣装のクオリティもかなり高く、日本代表選考会でも活躍する事は間違い無いでしょうね! ダンスはまだまだ磨けば光りそうですなので、ぜひ頑張って欲しいですね!】


「ゆ、ゆかちゃん! やった! やったよ!」

『嘘じゃない⋯⋯んだね』

「本当だよ、本当!」


 嬉しそうにするHaruお姉ちゃん、そしてボクも今まで頑張って来たのが報われて、本当に嬉しかった。


【それでは優勝した二人に一言頂きましょう!】


「へっ!? どうしよう、何にも考えてないよわたし!?」

『あ、ありがとうって言っておけば良いんじゃないかな!?』


【では、一言お願いします!】


「え、えっと、初出場で、優勝なんて頂いてしまちぇ⋯⋯あっ、その、ありがとうございました!!!!」

『ボクもまさか優勝出来るなんて思ってもなくて、本当に嬉しいな!

 日本代表になれるように頑張るから、応援よろしくね♪』


 Haruお姉ちゃんは舌を噛んでしまったからかテンパってしまい、結局お礼を言うことしか出来ていなかった。


 ⋯⋯だけど。


「「「「「「ああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」」


 ステージ上ではボクをリードしていた、そんなHaruお姉ちゃんの様子を見ていた人達は、舌を噛んでテンパるHaruお姉ちゃんを見て尊死していた。


「⋯⋯あれ?」

『凄い凄惨な光景が⋯⋯』


【多くの人が尊死してしまいました!

 救急隊の方対応お願いしますッ!!!!】


「なんで終わってから死ぬんだよおおおお!!」

「さっき戻したばかりだろおおおおお!?!?」


 救急隊員さん達の悲痛な叫び声とともに今回の関東予選は終了してしまった。


「え、えっと、ゆかちゃん、また来月もよろしく⋯⋯ね?」

『う、うん! こちらこそ!』

「じゃあ、そろそろ着替えてこよっか」

『うん!』


 そして着替える為に一旦分かれたボクは、更衣室へと向かった。

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