202:ゲームセンターのゲームって結構凄いよね
春休みに入り、最初の土日をいつも通りに過ごすとすぐに月曜日になった。 今日は裕翔達とゲームセンターに遊びに行く予定で、ちょっと楽しみな自分がいた。
「よし、準備はオッケー! そろそろ家出ようっと!」
裕翔としっかり朝から遊ぶのも久しぶりだった僕は意気揚々と集合場所へ向かっていった。
それから何事も無く集合場所に着くと皆既に着いていたみたい。
僕が一番遅かったのがなんだか少し申し訳ない気分。
「みんなごめんね、お待たせ!」
「優希おはよう。 俺はついさっき来たばかりだから安心しろよな」
「優希くんおはよう! 私もさっき来たばかりだから大丈夫だよ!」
「優希くんおはよう⋯⋯朝から可愛いね⋯⋯」
「しのってば男の子にそれは失礼じゃない? それと、優希くんおはよ!」
「みんなおはよう!」
挨拶は軽めにして、僕達はそこからバスに乗ってゲームセンターのある場所へ向かっていた。
「それにしてもゲーセン行くの久々だなぁ」
「僕もかなり久々かも」
「私はあんまり行かないかなぁ」
「ゲームセンターは、フィギュアとかたまに欲しくて来る⋯⋯かな」
「私はあんまりやってる時間無いからなぁ⋯⋯」
「どうして?香月さんは何かバイトでもしてるの?」
「ううん、違うよ。 単純に私が最近コスプレ衣装自作してるからそっちに付きっきりでね」
「自分で作ってるの!?」
「それはすげーな⋯⋯」
「やっぱり美由紀ちゃん、コスプレして売り子しない⋯⋯?」
「さ、流石に大勢に見られるのは嫌かなって⋯⋯」
「でも優希くんもやってるんだよ⋯⋯?」
「あんまり思い出させないで⋯⋯本当に恥ずかしいんだから⋯⋯」
「でも実際ネットに画像上がってたけど凄く似合ってたよね」
「うん⋯⋯本当似合ってた⋯⋯!」
「うぅ、何の罰ゲーム⋯⋯」
「ほらほら二人とも、優希くんが困ってるでしょ」
「「ごめんなさい⋯⋯」」
「う、うん⋯⋯」
「妹がいるからか天音のお姉さんムーブが凄いな」
「そ、そう?私お姉さんっぽい?」
「裕翔、冷静だね⋯⋯」
「俺にはダメージ無いしな⋯⋯」
バスを降りた後、そんな話をしながら歩いていると目の前にゲームセンターが見えてきた。
いつ見ても大きいこのゲームセンターはRound2と言って、スポーツをしたりすることの出来る施設も入っているから、この時期は学生で賑わってるんだよね。
「よっしゃ着いた!遊ぶぞ!」
「「「「おー!!」」」」
裕翔がそう言うと全員声を合わせて少しだけ叫んだ。
勿論、周りの迷惑にならない程度だよ?
「それじゃ何からするかね」
「ね、ねぇ優希くん」
「天音さんどうしたの?」
「プリクラ、撮らない?」
「へっ?」
「お、俺はいいぞ。優希行ってきたらどうだ?」
「いいねいいね!私も撮りたい!」
「私も⋯⋯」
「えっちょっと、裕翔!?見てないで助けて!」
「さらば、優希⋯⋯」
「何言ってるの佐々木くん」
「「「一緒に来るよね?」」」
「あっ、はい」
裕翔も一緒になって連行されていき、女子三人の勢いのままにプリクラを撮り、加工までされちゃった。
「よしよし、出てきた出てきた」
「うんうん、いい感じ」
「優希くん可愛く出来た⋯⋯」
「ゆ、裕翔⋯⋯顔が酷い事になってる⋯⋯ふふっ」
「見ないでくれ、こんなの俺じゃない⋯⋯と言うか優希も大概だぞ⋯⋯」
「あー!!僕も忘れようと思ってたのにいいいいいいい!!」
「可愛くない?」
「可愛いと思う⋯⋯」
「可愛いでしょ」
「ダメだ味方がいねぇ」
「だね⋯⋯」
プリクラでは妙に顎の細い裕翔が出来上がったり、僕も口の部分に動物の口が付けられたりと結構色々弄られちゃった。
でも三人とも楽しそうだし、まぁいっか⋯⋯
「それじゃ次は、あれなんてどうだ?」
「あっ、あれって最近凄いのあったって話題になってたSaber Rhythmだよね」
「そうそうホログラムだったかの技術で立体的に迫ってくるノーツをコントローラーで斬るあれだ」
「一回やってみたかったんだよねこれ⋯⋯って1プレイ三百円もするんだ⋯⋯」
「ある程度採算取れるまでは仕方ないんじゃないか?」
「最新ゲームだし、仕方ないか⋯⋯」
「私は横で見てるよ!あんまり体動かすの得意じゃないし!」
「私は優希くんの後でやってみようかな?」
「優希くん頑張れ⋯⋯」
「んじゃ俺も一緒にやるかな。
協力プレイあるみたいだし」
「良いね!やってみよっか!」
そうして僕は最新の音ゲーを裕翔と一緒になってプレイする事にした。
二人とも三百円ずつ筐体に投入し、協力プレイを選択。
チュートリアルが最初に流れたから操作の仕方はお互いに理解する事が出来た。
最初はこういうの結構ありがたいよね。
慣れてくると鬱陶しく感じることもあるけど。
「結構、体、使うね、これ⋯⋯」
「割と体力持ってかれるなこれ」
「裕翔、全然、疲れて無さそう⋯⋯」
「むしろ優希死にかけてないか?」
「運動不足、なのかなぁ⋯⋯」
「腹筋とかどうだ腹筋。
声出す役にも立つらしいぞ?」
「⋯⋯やってみようかな」
「んじゃラス曲、難しいの行くか」
「えっ?」
「一緒に死のうぜ」
「無理死んじゃうってええええええ!!」
「が、がんばれ優希くん⋯⋯」
「ふぁ、ふぁいとー」
「頑張って⋯⋯」
案の定僕と裕翔はわちゃわちゃとコントローラーを振り回しまくって曲が終了。
僕達二人は汗だくになって今にも死にそうになっていた。
「あー!あんなん出来るかよ!!」
「やっ、た、のは、ゆうと、でしょ⋯⋯」
「練習してクリア出来るようになりたいぜ⋯⋯」
「ぼくは、むり⋯⋯」
「優希大丈夫か?」
「すー、はー、やっと落ち着いてきたかも」
「なら良かった、にしてもあっついな⋯⋯」
「うん、本当にね⋯⋯」
裕翔に相槌を打ちながら僕は暑い胸元を服を引っ張りながらパタパタした。
「涼しい⋯⋯」
「ぐふっ」
「ふぁ!?」
「ッ!」
「ちょっ!?おい優希何して!?」
「え?普通にパタパタしてるだけだけど?」
「そ、そうか、悪い⋯⋯」
「? 変な裕翔」
「(俺は今何を考えたんだ?)」
「って香月さん達どうしたの!?」
「わたしたちのことは」
「おきになさらず」
「ごぷっ⋯⋯こぽっ⋯⋯」
「待って花園さん!?一体何が!?」
と、言うわけで皆が大変な事になってしまったからここで一旦一休みする事になった。
「ふふっ、流石の私でも近距離であんなの浴びたら死ぬよ⋯⋯」
「ちょーやばいよ⋯⋯」
「ごぷっ」
「おい、花園!しっかりしろ!」
ご飯を食べる為にカラオケへと移動した僕達は思い思いの物を注文した⋯⋯のはいいんだけど、花園さんが更になんだか大変な事になってしまった。
あれ?口から血吐いてない?大丈夫?
「おい!今すぐ記憶を消せ!戻れなくなるぞ!」
「待っていくらなんでも物騒すぎない?」
「この、記憶を消すくらいなら⋯⋯死んでも⋯⋯かまわ⋯⋯ない」
「花園さんもそれはそれでどうなの!?」
「花園ォォォォォォォォォ!!」
「しのちゃんはいいやつだったよ」
「あっ、じゃあ私希望の華いれよっと」
「皆、とまっちゃだめだよ⋯⋯」
「きぼーのはなー」
「何このカオス空間」
そんなこんなでよく分からないノリと勢いで遊んでいると気が付けばもう夕方、そろそろ皆が帰らないといけない時間になってきた。
「ふぅー!遊んだ遊んだ!皆お疲れさん!」
「⋯⋯もう、無理」
「疲れたね⋯⋯天音ちゃん⋯⋯」
「だね⋯⋯」
「みんなお疲れ様⋯⋯僕も疲れてきちゃった⋯⋯」
「とりあえずバス乗ろうぜ」
「「「「うん⋯⋯」」」」
「お前ら本当に大丈夫か⋯⋯?」
「むしろ何で裕翔はそこまで平気なのさ⋯⋯」
「普段から体動かしてるから⋯⋯かね?」
「やっぱ運動して体力付けようかな⋯⋯」
「まぁ、明日から頑張ればいいんじゃないか?」
「うん⋯⋯」
そう話しているとバスがやってきた。
僕は眠気をなんとか抑えながらバスに乗ると空いていた席に座った。
隣には裕翔が座り、後ろの席に天音さん達が三人揃って座るとバスは発車した。
「⋯⋯眠い」
「眠かったら少し寝てもいいぞ。
着いたら起こしてやるからさ」
「⋯⋯うん」
僕は裕翔の言葉に甘えて少しだけ眠る事にした。
駅までそこそこ時間はあるからいい仮眠時間になるはずだし。
♢
優希が俺の隣で寝息を立て始めた。
「よっぽど疲れてたんだな」
俺は体力があるから結構平気だが、どうやら優希だけでなく天音達も相当体力を使ったようで、全員スヤスヤ寝てる。
「仕方ない、駅近くなったら全員起こすか⋯⋯」
なんて軽く笑っていると突然優希が俺の肩にもたれかかって来た。
「すぅ⋯⋯すぅ⋯⋯」
「(何だ一瞬いい香りがした気がする)」
「(ってうおおおおおおおおお!!!
俺は何を考えてんだ!!!!)」
「優希は男、優希は男、優希は男⋯⋯」
「ヨシ!!」
バスでの移動はそんなに長くはなく、俺は精神を統一させながら駅に着くのを待った。
駅の近くになった事に気付いた俺は全員を起こし、全員寝ぼけ眼を擦りながら駅でバスを降りた。
「ふぁ⋯⋯」
「佐々木くん起こしてくれてありがとう⋯⋯」
「完全に寝てたよー」
「うっかりしてた⋯⋯」
「まぁ、俺は普通に起きてたから良いんだけど、皆眠いだろうし今日はこれで解散だな」
「うん、だね⋯⋯」
「今日は楽しかったよ!ありがとう!」
「私も超楽しかった!」
「心のHDDに保存したくらい⋯⋯楽しかったよ⋯⋯」
「皆楽しんでくれたならよかったよかった」
「それじゃまた学校で会おうな!」
「うん!ばいばい!」
「みんなおやすみー」
「天音さんたち気をつけてねー!」
「「「優希くんこそ!!」」」
「僕!?」
そして天音さん達と分かれた僕は裕翔と近くのバス停まで歩いていた。
「んじゃ俺はあっちのバスだからまた時間あったら遊ぼうぜ」
「うん!」
「あー、そうだ優希」
「どうしたの裕翔?」
「もし俺が戻れなくなったらその時は責任取ってくれよ」
「何の話!?」
「んじゃなー」
「う、うん、おやすみー」
そして裕翔とも分かれた僕は家に帰りシャワーを浴びると早めにご飯を食べてすぐにベッドにダイブしてしまった。
「楽しかったけど疲れたぁ⋯⋯」
「でもたまにはこう言う日もいいよね」
「⋯⋯でも運動不足はどうにかしないと」
「あっ、そうだ!」
僕はこれは配信に使えそうだなと考えてその考えた物を次の配信で使う事にした。
「春休みなら筋肉痛に怯えなくてもいいし、大丈夫だよね。 うん」
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