115:ハロウィン配信!②

『それじゃあ早速流していくにゃ!』


 ボクがそう言うと石油王さんとふわりお姉ちゃんに最初に渡していた音源を再生する。


『ちなみにテーマは内緒にゃ!聞いてくれたらすぐにわかるにゃ』


:ここまで来たら覚悟を決めろお前ら

:あぁ、俺は出来てる

:俺もうこれ聴いたことあるから耐えれるぞ

:お前まさか石油王!?

:何だと!?生きていたのか!?

:だがあえて言おう、生きれる程度になるまで軽く10回くらい聴いた

:えっまって

:軽く10回でようやく生きれるレベル?

:まぁなんだ、お前らゆかちゃんに溺れて溺死しろ

:いやああああああああ!!!!

:救急車は?

:あったぞ!救急車!

:でかした!


 あなたは仕事が終わり、家に帰宅しようとしていた。

 すると目の前にお腹を空かせてお腹を抱えた女の子の姿が。


:ナレーションか

:これもゆかちゃん?

:クオリティ高くて草

:まだいける


 あなたはその姿を見ていられず、思わず声をかけた。


 どうしたの?と聞くと彼女は答えた。


「おなかがへったの⋯⋯」


:あっ

:エッ

:これはいけない

:さぁさぁおじさんが美味しいご飯をご馳走しようじゃないか

:誰か通報しろw


 どうやら彼女はお腹が減っているらしい。

 あなたはたまたま持っていた○ロリーメイトを彼女に手渡した。


:ピー音で草

:ピー音意味をなしてないのほんと草

:というか主人公絶対社畜だろ


「ボク、これだとダメなんだ⋯⋯」


:エッ

:エッ!!

:あわわわわあわてるな

:お前が一番慌ててるの草


 あなたはどうして?と質問してみると彼女は答えた。


「ボクは⋯⋯人間じゃないから。」


 あなたは一瞬寒気が走り、後ずさる。


:いやむしろ近付くでしょ

:ゆかちゃんがいたら近付くな

:こいつらもうだめだwww


「お兄さんは、ボクにご飯をくれる人なの?」


 あなたはかつて聞いたことがあった。

 人の体液を啜る吸血鬼、または精気を吸うサキュバス、亜人と呼ばれる彼らの存在を。


:サキュバス、あっ(察し

:サキュバス...これはこれは

:亜人種いいよね


「ボク、悪いサキュバスじゃないよ?食べすぎたりしないから、少しだけ、お兄さんのエネルギーを分けてくれないかな?」


:いいですとも!!!!

:たんとおあがれ!!!!

:むしろ吸い尽くしてください!!!!


 見た目の幼い彼女を見て一瞬、邪な感情が浮かんだあなただったが、流石にいけないと頭を振り、邪念を払った。


:なぜ邪念を払ったあああああああ!!

:邪念に呑まれよ!!!!


「少し、少しでいいの⋯⋯」

 目を潤ませながらあなたを見つめる彼女を見て、断る事は出来なかった。


:ヨシ!!

:きた!!!!!!

:きちゃあ(にちゃあ

:ォ!(絶命

:あっ(絶命

:ん!(絶命

:もう死んでて草


「手、握っていいかな?」

 いきなり手を握りたいと言う彼女に手を差し出すとぎゅっと優しく握ってきた。


:まだ...耐えるんだ...

:まだいける...

:ふぅ、結構やばかった

:かなりやばいよー


「ふぅ⋯⋯やっと、エネルギー補給出来たよぉ⋯⋯」

 首を傾げるあなた。


 それを見た彼女はあなたを見て呟いた。


「お兄さん、もしかしていけないこと想像したの?」


 慌てて目を逸らしたあなたを見て彼女は笑った。


:あっ、スミマセッ....

:ごめんなさい....

:誠に申し訳ない...

:うぐぅ(絶命

:あっ....

:ぐはっ


「ふふっ、いつの時代のサキュバスの話をしてるのお兄さん。

 今はそう言う事するサキュバスいないんだよ?」


 そうなの?と返すとまた彼女は笑い始めた。


:サキュバスといえばセンシティブだもんな

:ボディタッチでドレインは想定外だった

:そういうサキュバスいないんですか(血涙

:どうして...どうして....


「お兄さん、サキュバスもね日々進歩してるんだよ、ボディタッチでエネルギーを吸収出来るようにエナジードレインの練習いっぱいしてるんだからね!ただ、吸収効率凄く悪いけど⋯⋯」


:効率的に吸収するために特訓するサキュバス...

:いいな...

:なんか...いい...


 それからじーっと手を握り続けていると彼女は少し物足りなさそうな顔をしている事に気がついた。


「ん?物足りなさそう?⋯⋯正直⋯⋯ね?」

「でも勢いよく吸っちゃうとお兄さん疲れちゃうよ?」


:吸い尽くしてください(血涙

:ゆかちゃんに殺されるなら本望よ

:疲れるくらいで済むならいくらでも...


 ずっと手を握っているとドキドキとしてしまうので早く終わらせたいあなたは、それでもいいよと伝えた。


:ドキドキというか死ぬ

:死んじゃう...

柿崎ゆる:私はまだ耐えれる...うん、大丈夫

:ゆるまま....しゅごい...


「お兄さん、いいの?」

 こくりと頷くと彼女はにっこりと微笑んだ。


「じゃあ⋯⋯」


「『いただきます♪』」


:!!!!????

:ふぁ!?(絶命

:おみみぃ!?(絶命

:にゃあ!?(絶命

:なの!?(絶命

:っ!?(絶命


 いきなり自分の隣にもう一人同じ女の子が現れた。


「お兄さん、びっくりした?」

『うふふ、こうなるなんて想像出来ないよね?』

 そう言いながら両手を握られるあなた。


「これで」

『二倍の速度だね』

「『お兄さん♪』」


柿崎ゆる:

浮雲ふわり:

:ぉ....

:ぁ.....

:....

:......

:...

:.....


 そう言って二人はあなたの肩に寄り添うように体を密着させてきた。


「こうすると、少し早めにエネルギー補給出来るんだよ」

『お兄さんもお仕事で疲れてるでしょ?』

「『だから早めに終わらせないとだよね♪』」


あれ?生きてるの俺だけ?


『と、言うわけで試聴はここまでにゃ!』


『あっ、ちなみに石油王さんとふわりお姉ちゃんには完成版を今の試聴の間に送っておいたにゃ』


:えっ


『今回だけは特別に一番最初に聴けるようにするけど、次からはクラウドファンディングあたりで配布しやすい形を取ろうと思うにゃ』


『だから、他のみんにゃはあと数日だけ待ってて欲しいにゃ』


『ってみんにゃ?』

 多分もうちょっとで蘇生すると思う


『みんにゃ思わず死んじゃうくらい喜んでくれたみたいでよかったにゃ!』


:草、それとゆかちゃんメール届いたよ!


『おぉ!無事届いたみたいでよかったにゃ!是非後で楽しんで欲しいにゃ!』


 それからリスナーが復活するまで五分程度かかったとか。

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