93:文化祭の買出し?
白姫ゆりこと閃光のシュバルツとの配信を終えた僕は、今回の配信中に起きた事を振り返っていた。
よくよく考えてみたら最初から最後まで色々とカオスだったような気がする。
配信が開始したと思ったらお父さんがいきなり女の人みたいになっちゃうし、しかもその状態が大人気になってお父さん自身も困惑しちゃってた。
アイクラではもはや誰もが一度はやる緑のAKUMAによる爆殺とアイテムをマグマに落としての全ロストというお約束まで達成し、僕たちが実は建築センスが0だったと言う事が発覚して、おまけに勝負に負けたお父さんは来月末まで女の人になりきっての配信が急遽決定。
それで終わるかと思ったらまさかの社長登場で今後も継続的に出していく宣言。
唖然とするお父さん。
うん、やっぱりカオスだ⋯⋯
というかカオスすぎないかな!?
情報量多すぎるよ!?
「まぁでも面白かったとは思うし、いいのかな⋯⋯?」
お父さんがこのままバ美肉にハマったらそれはそれで複雑な心境だけど、僕も似たようなものだからなぁ。
そしていつものように眠ろうとした時にふと、メールが届いていた事に気が付いた。
メールの差出人を見ると裕翔だった。
珍しい、何かあったのかな?
そのメールの中身を確認すると、どうやら今週末に行われる文化祭の買い出しについてきて欲しいという事だった。
文化祭に合わせて配信や動画の関係も先んじてある程度進めてあるから問題はないかな?
僕は裕翔に問題無いことを伝えた。
♢(佐々木裕翔視点)
俺の名前は裕翔、優希の親友だと俺は思っている。
でも今の俺はそんな優希を騙すようなメールを送らされる事になった。
事の発端はこうだ。
何故かクラスの女子達が優希に女装をさせる為に躍起になっているという話を聞いた。
話を聞かせてくれたのは同じクラスでよく優希に絡んでいる女子の一人である香月だ。
そして、優希に衣装を作るために採寸をしたいと香月は言っていて、その為に協力をして欲しいと言われた。
俺も最初は断るつもりだったのだが、俺も実は女装を引いていて、請負ってくれるならマシな衣装か香月の男装とチェンジしてくれると言うではないか。
そんな提案をされては俺に断る事なんて出来なかった。
すまない、優希。
実は香月はコスプレが大好きで、男装を引いてしまった事がちょっとショックで、俺とチェンジする事で自分の願いが二つ叶うという美味しい思いをしていた事をこの時の俺は知る由もなかった。
♢
そして次の日の朝になりお休みは完全に終了のお知らせ。
普段通りに学校へ行く僕だけど、文化祭が楽しみなせいなのか、学校へ向かう足が心なしか軽い気がする。
そして授業も終えて放課後になり、裕翔と一緒に文化祭の買い出しへ向かう事に。
今回買いに行くのは文化祭当日に使用するパスタなどの飲食物を提供するためのお皿やフォークなどのカトラリー。
それを購入するためにイオーネという大型のショッピングモールへとやって来ていた。
「ねぇ、裕翔」
「な、なんだ?優希?」
僕が裕翔の名前を呼ぶと周囲を警戒しながら何かあったか?と言わんばかりの顔で答える。
何か怪しい⋯⋯?
「さっきから凄くそわそわしてるけどどうかしたの?」
「いやっ!?そわそわなんてしてねーよ!?」
うん、絶対何かあるよね。
「あっ、優希くんみーっけ!」
突然僕の名前が呼ばれたので声のする方向を見ると、香月さんを筆頭にクラスの女子達がかなりの人数揃っていた。
「あれ?香月さんにクラスの皆まで、一体どうしたの?」
「えっとね、私達も買い出しで来てるんだ!」
「あぁ!なるほどね!」
「それじゃ優希くん、いこっか」
「へっ?」
「裕翔くん、協力ありがと♪」
えっ?
裕翔が協力?何の話?
「優希すまねぇ⋯⋯流石に俺は女装したくないんだ⋯⋯」
裕翔が女装したくない?
⋯⋯そういう事か!!!!
「ねぇ待って、香月さん」
「ん?どうかしたの?」
「僕逃げないからさ、裕翔も一緒に見繕ってあげてよ」
僕は覚悟を決めて香月さん達にそう言った。
「優希いいいいいいいい!!!!????」
「へー⋯⋯うん、いいよ。
代わりに凄く可愛いコスプレ選んじゃうから覚悟してね?」
香月さんは笑顔でそう言った。
「死なば諸共だよ、裕翔」
「あぁ、俺だけが助かろうとしたのが間違いだったか⋯⋯」
僕達二人は遠い目をしながらドナドナされていった。
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