74:文化祭の詳細を詰めたよ

 動画の投稿をした後あまりにも反応が多かったせいか僕のピヨッターがバグを起こしてしまうようになり少しの間まともにスマホが使えなかった。


 仕方ないので他の事をしていると寝る時間になったので僕はその日は寝る事にした。


 次の日の朝になると多少拡散は緩やかになって行ったようだったので確認してみると、いいねが大量に付いていた。


「えっ!?何これ!?」

 思わず部屋の中で叫んでしまうのも無理は無いと思う。


 GloryCuteのブランド力の凄さを思い知らされる結果で、なんといいねが20万、リツイートも10万と驚異的なまでの拡散がされていた。


 動画の方もどうなっているのか気になったので見に行って見るとこれまた驚きの50万再生。


 既にとんでもない金額の報酬になる事が確定してしまった。


 もしかして僕、とんでもない事やっちゃったよねこれ。


 とりあえずピヨッターで沢山の再生や更に多くの人からチャンネル登録をしてもらったお礼のツイートを投稿しておいた。


 流石に学校もあるから、ある程度の所で切り上げて学校へ向かうよ。


 そしていざ学校へ着いてみるとクラスメイトの女の子、いつもの三人が物凄い笑みを浮かべながら僕を見つめていた。


「お、おはよう」

 僕は恐る恐る三人に挨拶をすると


「おーはーよーうー!」

「何が言いたいかもう分かるよねー!」

「ふ、二人とも落ち着いて⋯⋯ふへへ⋯⋯」


「ひっ!」

 僕は異常なプレッシャーに当てられ思わず後ずさると、背中が何かに当たった。


「んっ、優希どうした?」

 そこにいたのは裕翔だった。

 どうした?と言った裕翔は僕の先を見て何かを察した。


「あーごめん、言わなくても分かるわ、昨日の動画の事だろ?凄く似合ってたぞー」

「あ、ありがと⋯⋯」

 褒められるのは嬉しいけど凄く複雑な気分。


「優希くんめっちゃ似合ってたよー⋯⋯」

「ねぇねぇ、色んなコスプレしてみない⋯⋯?」

「モデルになって欲しいかも⋯⋯」

「な、なんで手をわきわきしながらこっちくるのさ!?」


「「「反応可愛いから、つい」」」

「全員同じ事言ってるよ!?」

「流石だな、シンクロ率が段違いだ」

 裕翔も何冷静にうんうんと頷きながら言ってるの!?


「まぁ、それは置いておいて、ネットで凄い評判だねー私も鼻が高いよ」

「凄く似合ってた⋯⋯お化粧覚える気にならない?というかやろ??文化祭で役に立つよー?」

「優希くん、可愛いから大丈夫だよ⋯⋯?」


「というか三人ともいつの間に優希の事を姫くんって呼ばなくなったんだ?」

「「「ぎくっ」」」

「あれ?そう言われるとそうかも?」

「あ、あのね。なんというかね」

「ちょ、ちょっとでも親しくなりたくて言い出した訳じゃないし!?」

「私は言い出すタイミングが掴めなかっただけで二人が言い出したからつられて⋯⋯」


「「「嫌だった⋯⋯?」」」

「いやだからシンクロ率高すぎだって」

「僕は気にしないよ?」

「「「よかった⋯⋯」」」

「もう突っ込むの疲れたぞ俺」


「そ、それにしてもいつの間にGloryCuteで撮影なんてやってたのかな!?」

「確かに、俺も気になるな」

「わたしも気になる」

「私も!」

 皆にそう聞かれたから僕は撮影した日を教えた。


「撮影自体は先週だよ?」

「えっ?動画出来るの早くない?」

「一週間まだ経ってなくないかな?」

「優希くんが自分で編集したの?」

「編集はGloryCuteさんの方でやってくれたんだよ、まさか僕もこんなに早く動画出来るとは思ってなくてビックリしたよ?」

 確かに、そんなに早く動画が完成するなんてびっくりだよね。

 編集ポイント凄く多かったしね。


「流石は大手企業⋯⋯ってところか」

「ほえー、凄いんだねプロの人達って」

「真似出来そうにないなぁ⋯⋯」

「わたしの苦手な分野だから憧れるなぁ」


「それで、企業案件のあの服って優希くんは貰ったの?」

「ねこさんパーカーとコートだけ貰ったかな?」

 実はねこさんパーカーは僕もお気に入りで聞いてみたら快く貰える事になったんだ。

 元々動物とかが好きだから余計にね。

 そしてコートは絶対似合うから持っていって!と押されて渡されたんだ。

 中に着る服も合わせて。


「ねぇ、ねこさんパーカーに早く着替えてきて!!!!!」

「いや持ってきて無いよ!?」

「うぅ、見たかった⋯⋯」

「わたしも⋯⋯」

「私も見たかったよ⋯⋯」

「こいつら欲望抑える気なさすぎだろ!?」

「人は欲深い生き物なんだよ⋯⋯?」

「欲望?いいや、本能だよ」

「見られるなら見たいなーってくらいで無理強いはわたしはしないかな⋯⋯でも見たいけど⋯⋯」


「どっちだよ⋯⋯」

「「「やっぱ見たい!!!」」」


「は、恥ずかしいから、ちょっと⋯⋯」

「くぅ、照れる優希くんも可愛いぜ⋯⋯」

「うっ⋯⋯」

「あぁっ⋯⋯」


「なんか死んだぞ二人」

「ホームルーム始まったら流石に生き返るよね?」

 そしてホームルームが始まると案の定二人は生き返った。


 そして文化祭の詳細を決めるために今日の1、2時間目はLHRロングホームルームとなり、詳細を詰める事になった。


 ここで決められた内容を元に来月開催される文化祭に向けて準備をしていく事になる。


 そして僕達のクラスはコスプレ喫茶をやる事になっていたけれど、まず大きな問題があって、コスプレをどうするか。

 すると、クラスの何人かが伝手があるらしく、合計で二十着ほどであれば用意出来るとの事だった。


 そして伝手のある人達の用意出来るコスプレはメイド服が十着、チャイナドレスが五着、レースクイーンが五着との事だった。

 場合によっては変動するかもしれないけどこれが限度だと言っていた。


 むしろなんでそんな伝手があるのか謎で仕方なかったよね。

 でもクラスは三十人いるので後十着どうにかしないといけなくなった。


 するとクラスの一人が、一人少しずつ出し合って十着の衣装を買うのはどうかという話になった。


 今では安いコスプレでもかなりクオリティが上がっているのもあって一人千円や二千円出せればそこそこのクオリティの物が用意出来るはずだと言うことになった。


 クラスの全員にアンケートを取ってもほぼ全員がオッケーを出したので問題はなくなった。


 そして次に大事なこと、誰が何を着るか。

 今この時点で男子は気付いていなかった。

 今の時点では全てが女性ものの服であると言う事に。


 男子は女子だけが着ると思い込んでいたようでその事実に気付いた者は男ものを入れないとまずい!と言い始めた。


 女子もまぁ仕方ないと納得してくれ、六着までは男ものを購入する事で同意した。

 でも、衣装は女子が選ぶという条件になり、最後に誰がどの衣装を着るかくじ引きをする事になった。


 衣装購入と書かれた紙を引いた場合は女子達のコーディネートで女装なり男装なりをさせられるらしい。

 男衣装購入を引けば男装。

 女衣装購入を引けば女装。


 僕が昨日感じた寒気はこれだったのかもしれない。


 そしてくじ引きは僕の番になった。

 残り十枚で男衣装購入はまだ四枚残ってる。

 女衣装購入は一枚しかないしきっと大丈夫。

「男もの、男もの⋯⋯」


 僕は祈るように引いた。


「女衣装購入⋯⋯嘘でしょ⋯⋯」


「「「「「「「「「「「よっしゃああああああああああ!!!!!!」」」」」」」」」」」


 クラス中の女子の叫び声が教室に木霊した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る