58:オフコラボの準備をしよう!
ノートパソコンを買い家に戻った僕はお父さんと一緒にパソコンのセットアップを完了させた。
本格的に動かす事になるのはふわちゃんこと華さんとのオフコラボの時なのでそれまでに必要なソフトなどを導入しておかなければいけない。
「まず、オフコラボの場合顔だけと言うよりも身体全体を動かす事になるからこのソフトを導入しておくといいぞ」
そう言ってお父さんはFa◯eRigの身体全体版とも言えるBodyRigと言うソフトを教えてくれた。
「このソフトがカメラから入ってきた人の映像をトラッキングしてくれる。そこそこいい精度でトラッキングしてはくれるが、流石に本物のモーショントラッキングには及ばないから注意だな」
「オフコラボくらいでしか使わないって訳だね」
「まぁ、そんな感じだな」
その後もカメラの設定などを一緒にやってくれた。
勿論これから僕が自分で調整出来る様に細かい所まで教えて貰ったよ。
「ふぅ、とりあえずあとはここに3Dモデル突っ込んだら後はソフトにお任せだな」
「モデルの確認は家にあるデータ使わないと出来ないからその時でいいかな」
「あーいや、一応モデル一個あるからそれ入れて動作確認だけしておこうか」
「そうなの?じゃあやってみる!」
お父さんがそう言ったのでお父さんのモデルを使って実際に動作の確認をする事になった。
「よし、このUSBを挿してっと」
お父さんはUSBメモリを持ってきてノートパソコンにそれを挿した。
中にモデルのデータが入っているようでコピーが終わり、モデルの導入も完了した。
「よし!これで後は動かすだけだな。
確認出来るように録画してみるから優希はそっちで適当に動いてみてもらえるか?」
「うん!分かった!」
僕は指定された場所で軽く動いた。
ターンしたり揺れてみたり、気分がノってきたからヘドバンしたりしてみたり。
「よし、いいぞー」
「はーい」
そして僕は映像を確認してみる。
「問題無いな、ターンやヘドバンでもモデルが崩れてない」
「大丈夫そうだね!」
時間がかかる調整をお父さんと一緒にやったから意外と早く終わったからお父さんに感謝だね。
夜になり、またお母さんの作ってくれたご飯を食べた。
僕の腕前もまだまだだと思い知らされたので料理を今後も頑張っていきたいな。
丁度良いことに動画のネタにもなるから正に一石二鳥だね。
♢
朝になり、お父さんが名古屋まで送って行ってくれる事になった。
「俺も今日名古屋で仕事があるから丁度いいんだよな」
どうやら編集を担当する社員がまだ新人らしく教えるのに適した人が居ないらしい。
確かに昨日お父さんから教わった感じからすると人に教えるのが上手なのがわかる。
「お父さん結構頼りにされてるんだね」
「嬉しいんだけど、毎度名古屋まで行くのはちょっと怠いけどなー」
「車で一時間半くらいだっけ?」
「うちからだとそんくらいだな、空いててそれだから渋滞なんてしようもんなら目も当てられないけどな」
「二時間とか三時間かかったら最悪すぎるね、電車で行ったほうが良かったって思うレベルだよ」
「だから実際電車で行くことの方が多いからな」
「でも今日は車なんだね」
「あっちで必要な機材を車に載せる必要があるから仕方ないさ」
「なんかお父さんがしっかり仕事してる!って感じになったの初めてかも」
「確かに結構在宅勤務多かったからそうなるか。優希が小学生の時には既にVtuberやってたからなぁ」
「大御所だもんね。でも名前がなんで中二病なの?」
「あー、ぶっちゃけ適当だったらしい」
酷すぎるカミングアウトだ。
「でも俺達一期生が売れたもんだからお上が調子に乗っちゃってなぁ」
「これいけるやんけ!ってなった訳なんだね⋯⋯」
「まぁ、そこは忘れてくれると助かる⋯⋯」
「う、うん」
少し目が遠くなっているお父さんこれ以上掘り下げるのは可哀想なのでやめておいた。
それから車に揺られることおおよそ一時間半、名古屋の僕の家に降ろしてくれた。
「それじゃあ優希、学校にVに頑張れよ!
コラボは多分九月中にやると思うからよろしくな!」
「うん!お父さんも送ってくれてありがとう!
配信これからも頑張ってね!」
「おう!ありがとな!それじゃそろそろ行くわ!また正月にでも顔出せよー!」
「うん!」
手を振りお父さんを見送って僕は家に帰った。
それからは二つのパソコンのお陰で作業がとても捗る事に気が付いてとても良い買い物をしたと実感した。
エンコード中に別の作業を出来るのはとても有難い。
出来なくはないけどデータ飛んだりしたら大変だからね⋯⋯
♢
それからまた料理の動画を撮ったり、ゲームの配信をしたりしていたら気付けばもうふわちゃんとのオフコラボの日。
何を着て行こうかな。
ふわちゃんも僕が可愛い格好をすると喜んでいたからドッキリで何か服を持って行ってみようかな。
流石に集合時には着ていかないけどね!
そして家を出て直ぐに僕は気付いた。
僕、女装に抵抗が無くなってきてる⋯⋯?
「いやいや、そんなまさか⋯⋯ね」
集合場所は名古屋駅の銀時計。
近くにある契約しているカラオケ店で配信をするとの事だったので僕はそこで華さんを待っていた。
「あっ、優希くんお待たせ!」
華さんが僕に声をかけた。
「大丈夫です!さっき来たばかりです!」
「そっか、良かった!」
「今日はお姉さんと楽しもうね♪」
「えっと、お手柔らかに?」
「ふふっなにそれ、それじゃ行こっか!」
「はい!」
今日の華さんは異常にテンションが高い。
よっぽど楽しみにしていたのだろうか。
それから何故か僕は華さんに手を握られるがままカラオケ店まで歩き受付をした。
カラオケはフリータイムとの事なので長時間配信してもよし、残った時間は普通に歌ってもよしとの事だった。
「それじゃあまずは配信のセットをしよっか」
「そうですね!」
「優希くんはノートパソコンとか持ってる?」
「はい!前買ってきました!」
「おぉ、わざわざ買ってきてくれたんだね」
「必要無かったですか⋯⋯?」
「違うよ、持ってないようだったらこっちで念の為にもう一台持って来てたからそっち使ってもよかったなって」
「二台も持ってきてたんですか!?」
「一応会社の物だけど、外で配信してるときにパソコンの調子が悪くなったりする時もあるからね、念の為にオフコラボの時は二台持っていくように言われてるんだ」
「なるほど⋯⋯」
「でも優希くんの方の問題は無さそうだし、セットして軽く確認したら一曲二曲歌って声を作ろっか」
「はいっ!」
お父さんのお陰もあってセットはすぐに終わった。
「えっ?もう終わったの?」
「お父さんに教えて貰ったので⋯⋯」
「へぇ、流石シュバルツさんリーダーやってるだけはあるね」
「えっ?知ってたんですか?」
「何だったら配信でバレる前に気付いてたよ?」
「あー、そういえばお父さん言ってましたね⋯⋯」
「本当!?なんて言ってた?」
「あいつはヤバイって」
「ああああああ!
完全にやらかしてるよ私!」
「まぁ、ふわちゃんだから⋯⋯って言ったらお父さんに呆れられました⋯⋯」
「優希くんも酷いよ!?」
「えへへ、ごめんなさい。」
「全力で許すよぉ⋯⋯」
そう言いながらも華さんも準備完了。
軽く喉も作って準備は万端。
「それじゃあ配信やっていこっか」
「はい!」
「あっそうだ、一応配信のタグ付けにいまなんじを入れておいてね!そうしないとカラオケの権利の問題が発生しちゃうから!」
「分かりました!」
「よし、じゃあ配信開始するよ?」
「大丈夫です!」
そしてその瞬間僕は深呼吸をして白姫ゆかになる。
「みなさんおはふわりんー」
『リス兄リス姉おはよう!白姫ゆかだよ!』
挨拶と共に配信が始まった。
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