55:お墓参りと不思議な体質?

「まず、単刀直入に言わせてもらうけど、本当に何もわかんないんだ」

 お爺ちゃんは椅子に座ってから僕達にそう言った。


「やっぱ原因不明なのか」

「うん、そうだね。

 昔知り合った有名な学者さんに聞いてみたけど、よくわかんないって言われたよ」

 お爺ちゃんはお父さんの質問に答えると、ちょっと困ったような顔をした。


「学者さんでも全く分からないのか!?」

「らしいよ? 僕も少しくらい手掛かりが掴めるかなーなんて期待していただけに当時は少しがっかりしたもんだよ」

「少しだなんて言うけどな、あの時の落ち込み様は結構凄かったんだぜ?」

「ちょっ、それは言わないでおくれよ」

 おばあちゃんが意地悪そうな顔をしてそう言うと、おじいちゃんは恥ずかしそうにおばあちゃんを止めた。


「あの時、慰めたのは一体誰だったと思ってるんだか」

「うっ、それは当時自分が謎を解き明かすんだって必死になってたから⋯⋯」

「そんな時期が父さんにあったなんて知らなかったんだが⋯⋯」

「まぁ、わざわざ言う事では無かったからね」

  お爺ちゃんは懐かしむような顔でそう言うと、ふと思い出したような顔をして喋り始めた。


「それにしても急にそんな事を聞いてきてどうしたんだい?」

「いやこの歳にもなって周りより明らかに若い見た目してるからな、俺も優希も気になってたんだよ」

「なるほどね、まぁ個人的に一番謎なのは一族関係無い希美さんとかにも若返り効果的なのが出てる事なんだよ」

「「確かに⋯⋯」」

 お父さんとお母さんは同時にそう言いながら頷いた。


「ま、気にしても仕方がないし、今では原因なんて気にして無いけどね。

 ラッキーと思っておけばいいんじゃないかな?」

「まぁ、父さんがそう言うなら⋯⋯」

「納得はいきませんけど、別に害がある訳じゃ無いですからね⋯⋯」

「それじゃ折角来たんだし、墓参りしにいこうか」

「だな、その為に来たようなものだし」

「暑いから外に出たく無いのが本音だけどね」

「父さんがそれを言うのか⋯⋯」

 そうおじいちゃんが言うと家を出て僕達はお墓のある場所へと向かい始めた。


 それから移動している最中におじいちゃんがふと目に入った場所でお父さんに車を停めさせた。


「いけないいけない、うちの土地神様へのお供えを忘れる所だったよ」

「土地神様?」

「うちの先祖からずっとここにあるらしくてね、ちゃんとこう言った時期にお供えをしてやってくれって言われてるんだよ」

「へぇ、そう言えば父さんがここになんでお供えしてるのか聞いたことなかったな。

 まさか昔からやってるとは思わなかったな」

「ちなみにどんな神様を祀ってるの?」

「⋯⋯正直わかんないんだよ」

「え?」

「ここに土地神様が祀ってあって大事にしろとしか言われてないからね。

 ちなみに何十年か前に大分ボロが来てたから新しく建て替えしてもらいはしたけど⋯⋯」

「⋯⋯まさか」

「そう、優希が産まれた年だった気がするんだけど、覚えてないんだ」

「えっ!? 何!? 何で僕を見るの!?」

「神様から与えられた可愛さ、あり得るな」

「⋯⋯正直、そう思うよね」

「お父さん!? おじいちゃんまで!?」

「優希ちゃんですもの、神様の加護を持っていてもおかしくはないですよ」

「お母さんまで何言ってるの!?」

「三人とも、優希が可愛いのは分かったから、暑いしそろそろ切り上げよう、な?」

「あぁ、そうだね」

「んじゃ、行くか」

「そうですね」

 そう言うと再びお墓のある場所へと移動し始めた。



「お爺ちゃん、それにしても何でこんなところにお墓を建てたの?」

 僕はずっと何故なのか分からなかったのもあってそうお爺ちゃんに聞いてみた。


「んー、おそらくだけど、元々本家のあった今優斗達の住んでいる場所は元々村だったらしいんだ。

 それでもこの見た目だろう?周りから余りいい目で見られていなかったみたいでね、ある程度歳を取ったら本家は息子や孫に渡してここで余生を過ごしていたからって僕の父親は言っていたよ」


「ひいお爺ちゃん⋯⋯そういえば記憶に殆ど無いなぁ⋯⋯」

「無理も無いよ、優希が小学二年生くらいの頃に亡くなったからね」


「いくつだったの?」

「確か⋯⋯百歳くらいだったかな?」


「結構長生きだったんだね」

「いくら平均寿命の伸びてきた今とは言え九十八くらいまではピンピンしてたんだから本当恐ろしいものだよ」

「でもそうやって考えると爺さんが三十五歳くらいの時に生まれたんだな父さんって」

「僕は末っ子だったからね、まぁ兄弟もまだ普通に生きてはいるみたいだけど別の県に引っ越していったから会えるのは正月くらいなのが少し寂しいかな」


「そういえば爺さんが亡くなったほぼ同時期に婆さんも亡くなったんだっけか」

「そう、大体追っかけていくかのように数ヶ月以内に亡くなったよ。本当に仲の良い二人だったからね、あの世でもきっと仲良くしてくれているだろうさ」

「なんか偶然にしても凄いね」

「偶然⋯⋯?あぁ!思い出した。

 長生きしてる一族の人達は夫婦円満だったって話を父さんから聞いたっけ」

 お爺ちゃんは手をポンと叩きそう言った。


「夫婦円満?」

「そう、夫婦円満。

 許嫁とか、お見合い結婚の場合あんまり仲が良くない場合もあったらしいけどその場合普通の人と変わらなかったとかなんとか。

 実際はどうだか知らないけどね」

「なんでなの?」

「流石に分からないね、案外神様とかが見てるのかもね」

「神様がこの夫婦てぇてぇとか言ってるの想像したんだけど、そのお陰で長生きしてたら流石に笑うぞ」

「俗物的すぎない?そんな神様⋯⋯」

「流石に無いだろうけど、そんな理由だったら面白いね」


 そんな話をしているとお墓へ到着したので

先祖のお墓の前で手を合わせた。


「さて、とりあえずやる事もやったし帰ろうか」

「うん!」

「そうだな」

 お参りを済ませた僕達は再びお爺ちゃんの家へと帰っていった。



「さて、こっちに戻って来たのはいい。」

 お爺ちゃんが椅子に座りながらそう言った。


「ぶっちゃけやる事なくない?」

「否定出来ん⋯⋯」

「正直手を持て余していますねー」

「う、うん」

「まぁオレも畑耕してなかったら大体優理とのんびりしてるからな」

 戻ってきた僕達を襲うのはまさかの暇だった。


「まぁ、いいか。ぶっちゃけ遊ぶものも無い訳じゃ無いからね」

「仕方ないわな、言うてオレら老人だしな」

「あっ、それならお爺ちゃん達もやった事あるゲームとかどう?」

 僕はお爺ちゃん達に提案した。


「僕達でもやった事あるゲームか⋯⋯そういえば押し入れに任◯堂W◯iがあった気がするね。」

「父さん、また懐かしい物を⋯⋯」

「最近だとそれレトロゲー扱いされてるって知ってました?」

「えっ!?そうなの!?僕結構好きでやってたんだけど⋯⋯」

「スーパーファ◯コンとかもはや骨董品だしなぁ」

「ファミ◯ンに至っては化石みたいな物ですしね」


「時代は変わるなぁ⋯⋯」

「オレもW◯iよくやってたんだけど何、今何が最新機種なんだ?」


「P◯7とか、任◯堂だと4◯Sとか出たな。」

「3から4になってたの⋯⋯しかもプレ◯テに至っては7なのか⋯⋯」

「あの頃3でも技術の進歩感じてたんだけどなぁ、オレ達も歳を喰ったなぁ⋯⋯」

「まぁ俺は一応配信者で食ってるからゲームとか一応買うんだけど、最近は二、三年に一回のペースで出てるからそりゃ追いつけなくもなるよなぁ」

「配信者って何なんだい?」

「あー父さん知らなかったんだっけ、今俺Vtuberっていうのをやっててさ、動画サイトに動画を投稿したり、リアルタイムで、うーん生放送って言えば分かるか?をやってるんだよ。

 勿論ちゃんとした企業に所属してるから給料もしっかり貰ってるぞ」

「へぇ、今はそんな仕事もあるんだね。」

「オレも聞いたことないな、どれくらい貰ってるんだい?」

「僕も気になる!」

「ん、そういえば優希も俺がVtuberやってるの知ったの昨日だったもんな。

 とりあえず固定給で税金とかを抜いて大体三十万、それにプラスで配信やってる時に投げられたスパチャのうち20%をボーナスとして支給されてる。更に会社の業績がよければ配信者の固定給の一ヶ月から二ヶ月分のボーナスが出る感じだな。 会社が結構持っていってるイメージがあるけど結構還元や福利厚生が手厚いから社員として働いている人の評判は良いんだぞ」

「結構貰ってるじゃないか。

 そのボーナスって言うのは大体どれくらいなんだい?」


「月二十万以上あるかどうかって感じだな。というかスパチャに関しては本当に読めないんだよ。投げる人は心配になるくらいに投げてくるから」

「あっそれは分かるよお父さん、上限とか投げられると申し訳なさが出てきたりするよね」

「そうそう、他の新人なんかは喜んで貰う奴も多いけど俺の場合は固定給でも結構な金額貰ってるし、住宅手当とかもあるからな。無理して投げないでいいぞって思ってしまうんだよな」

「僕も完全に同じ発想だよ、それにしても企業勢って結構手厚いんだね⋯⋯」

「まぁ、売れに売れてる会社だからっていうのもあると思うけどな」

「よく分からない世界だけど、仕事は楽しいのかい?」

「楽しいぞ、色んな人が自分を見て反応を返してくれるからな。やりがいがあるんだ」

「良い仕事に出会えたじゃないか」


「まぁ、あんまり人に喋っちゃいけない仕事だからここだけの話にしておいてくれると助かる」

「それは仕方ないね、僕らだけで止めておくとするよ」

 そんな話をした後、皆でヒゲオパーティーで遊ぶことになった。

 意外とお爺ちゃんが強くてお父さんが焦ってた。

 でもそれ以上にお婆ちゃんが強くて一位の座はお婆ちゃんが独占していたけどね。

 それで長い事ゲームを交代交代でやっていたら夜ご飯をお婆ちゃんが作ってくれたのでご飯を食べて僕達はお父さんの住んでる家に帰った。


 次会うのはお正月かな。


----------------

???「この夫婦尊い⋯⋯寿命スパチャしたろ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る