46:閑話(とあるVtuber達の一日)
これは優希達が帰った後、秋葉原で行われていたイベントの最終日のお話。
イベント最終日と言うこともあり、一万円以上購入者の特典は終了となり、代わりにトークショーが行われる事になった。
トークショーへの参加者はいまなんじ、Vライブにおける一定の地位を得た強者達、通称ミリオンライバーと呼ばれる人達が集ったトークショーであり、多くの人たちがそのトークショーを楽しみにしており、ファン達は用意された席に座って開始を待っていた。
いまなんじからは一期生の
「えー、皆さんこんにちは、閃光のシュバルツでございます」
「皆ーこんにちなのー!」
「みんな、こんちゃーっす!」
「はーい、みなさんこんふわりんー」
会場では自らの推しの挨拶を返す声でカオスな挨拶になっている。
「いやー皆凄いカオスなかけ声っすね」
「そうですねー、わたしも聴き取れませんねー」
「これがお祭りの感覚でございますね」
「なのの事呼ぶ人が少ない気がするなの」
「それにしても、豪華なメンバーが集いましたね」
「そうっすね、リーダー」
「誰がリーダーですか、私は同じ一期生ですよ」
「なのから見てもリーダーにしか見えないの」
「否定が出来ませんねー」
「ほらみんなそう言ってるっすよ!」
リーダーと呼ばれた閃光のシュバルツは肩をがっくりとする。
「⋯⋯はぁ、そう言う事にしておきましょう、あまり時間を使うのも良くありませんから」
「それもそうなの」
「そっすね」
「そうですねー」
「何で皆さんそんなに息がピッタリなんですか⋯⋯」
他事務所のメンバーと言うこともあり、普段接点が無いはずの三人が息を合わせたように返事をする事に少し違和感を覚えた閃光のシュバルツは思わずツッコミを入れてしまったようだった。
会場内ではシュバルツさん今日はツッコミ役かぁ、と言った声もちらほらと聞こえる。
「と、言うわけで今日はこの4人通称ミリオンライバーの4人でお送りさせて頂く訳なんですが、実はですね、ピヨッターの方で私達4人に対する質問などを頂いた訳なんですね」
「つまり、今日はその質問に俺たち4人が」
「答えて行くってわけなの」
「俺のセリフ取らないで欲しいっすよなのちゃーん!」
「隙を見せる方が悪いの」
シュバルツが息が合っていると思うのも無理はないくらいに話のテンポも良く、会場の雰囲気もいい感じになってきた。
「既に質問は何個かピックアップしていますけどー、どこかのタイミングで今会場にいる人の中から適当に当てて答えると言うものもやりますのでー、是非最後までお付き合いくださいねー」
浮雲ふわりがそう言うと会場のボルテージは最高潮。 ワァァァァァァァァァァ!!!っと大歓声に包まれる。
と言っても中にはやったぜ。 と言った全く違う事を言っている人も多くいたのだが、歓声に包まれ聞こえている人の方が少なかった。
「それでは早速一つ目の質問ですー」
『ミリオンライバーの皆さんはミリオン達成迄にどれくらいの時間がかかりましたか?』
「よく聞かれる質問の一つですね、私の場合は大体三年ほどだったでしょうか」
「なのは大体二年だった覚えがあるの」
「俺っちは四年っすね、みんなが早すぎるだけっすよ」
「私は一年半くらいでしたでしょうかー?」
それぞれが自分の過去を振り返りながら答えると、初期から見ていた人などはそんな時代があったなーと懐かしむ様子が見られた。
「やっぱふわちゃんの登録者の増え方可笑しいっすよ!?」
「なのもびっくりなの」
「ははは、早いですね流石です」
「おそらくですがー、暴走がバズのきっかけになってるんですよー」
「良いのか駄目なのか判断が難しいですね」
「真似したいとは思えねーっす⋯⋯」
「ふわり、今度なのにも可愛い子紹介するの」
「絶対いやです!!!」
「素が出てますよ」
「素が出てるなの」
「素が出てるっす」
「嵌めましたねー!!」
「「「おお、こわいこわい」」なの」
「うぅ、気を取り直しましてー二つ目の質問にいきますー」
『結婚はしてますか?してるなら子供はいますか?』
「私は既婚者ですね、子供も一人いますよ」
「なのは結婚はまだなの、可愛い旦那様募集中なの」
「俺っちも結婚してるっす。子供は2人いるっすよ」
「わたしはー絶賛ショタっ子募集中ですよー」
「「「ブレなさすぎなの」」」
「口調移ってますよー!?」
浮雲ふわりが全員からツッコミを入れられ少しあたふたとしている。
「こほんっ、次はーこちらですー」
「話題を変えに来たっすね」
「驚く程早い場面転換、私で無ければ見逃していましたね」
「なの」
「いいではないですかー!次言いますからねっ!」
「だから口調なの」
『最近推しのVtuberは誰ですか?同期でも同期以外でもオッケーです』
「私の最近の推しだとうちの八期生の紫電の秋夜君ですかね」
「なんでVライブの半分以上は中二病ネーミングなのか不思議なの」
「本当っすよね、多分リーダー含め俺達がウケたからだとは思うっすけど、安直っす」
「わたしたちの事務所がまともに見えて来るのが不思議ですねー」
「「いやそれはない」」
「「解せぬ」なの」
「それじゃ次はなのの番なの。最近ハマってるのはまねオジなの」
「知らないっすね?」
「私も知りませんね」
「誰ですかー?」
「バ美肉声真似Vtuberっていう意味不明な存在なの」
「本当に色々やばいっすね」
「どんな層に売り込んでるでしょうか?」
「ちょっと気になるのが悔しいですー」
「それじゃ次は俺っちっすね。俺っちが最近ハマってるのは個人勢なんすけど、白姫ゆかって子っすね。 あのクオリティで個人勢はありえねーっす。 それに可愛いし男の娘とか誰得だよって話っすよね、まぁ俺得なんすけど」
「ぶふぉ!?」
突然閃光のシュバルツが吹き出した。
「うぇっ!?どうしたんすかリーダー?」
「ごほっ、いやむせただけだから大丈夫です、心配をかけました」
「まさか、こんなところで同士に出会うとは思いませんでしたー、わたしの今の一番の推しは同じくゆかちゃんなんですねー」
「ごっほぉ!?」
「リーダー!?」
「いや本当に大丈夫っすか!?」
「も、もんだいないよ⋯⋯すまないね」
ナイトハルトが心配をするが、シュバルツのキャラが完全に崩壊し始めていて、少し危うい雰囲気が漂い始めた。
「だ、大丈夫なんですかねー?」
「一体何があったのか全くわからないの」
「え、えーと、質問タイムはこれくらいにして、一つ発表があるので聞いてくださいねー」
「耳をかっぽじってよーく聞くの」
流れを変える為にも浮雲ふわりは告知を行う事にした。
「こほんっ、えー、今回のお知らせですがここ二年ほど新規でVtuberの募集を行っていませんでしたが、この度いまなんじ、Vライブ合同で十期生の募集を始める事になりました。 審査員は私達四人を筆頭にそれぞれの事務所のスタッフ達の手で審査を行なっていきますので私達と同じ舞台で活躍をしたいと思った方のご応募の方お待ちしておりますー」
「Vライブはイケボやカワボの持ち主だと審査が通りやすいっすけどキャラが濃いのはいまなんじが多いんすね、だから合同で募集する事でお互いの事務所の応募した人を審査出来るっす、実質チャンスが二倍と思って貰ってオッケーっす」
「みなさんとコラボ出来る日をお待ちしておりますよー」
「可愛い子だとなのが泣いて喜ぶの、ガシガシ応募するなの」
「それじゃあ予定していた簡単な質問をやったらお終いのお時間になりましたので、四人ほど当てさせていただきますねー」
そう言って各一人が質問したい人を当ててその質問に答えた。
そして四人全員が終わり、終了の時間になった。
「トークショーもこれにて終了、みなさん帰りには気を付けてくださいねー」
「事故ったら許さないなの、夜道には気をつけるの」
「皆さんの安全が第一です、歩きスマホなど危険ですのでおやめ下さいね。
旅行は帰るまでが旅行と言いますので家に着くまでは油断してはいけませんよ」
「退出の際は気をつけてくださいっす、結構会場出るときにやらかす人多いっすから順番に並んで退出してくれっすよー!」
退出の際の注意事項を話すとナイトハルトが続けて言った。
「それじゃ最後に恒例の挨拶いくっすよー!」
「お疲れ様でございました」
「おつかれなの」
「おつかれっすー!」
「おつふわりんー」
そして巨大モニターの電源が落ち、会場から人が退出していく。
注意が功を奏したのか、怪我人も出ず平和に終わることが出来た。
♢
「おう、お疲れー!」
「先輩、急に変わりすぎですって!」
「ははは、俺は普段こんなもんだぜ?」
「まぁ、そうなんすけど⋯⋯」
「おい、口調がナイトハルトになってるぞ」
「いっけね、先輩ありがとうございます」
二人は並んで歩きながら今日共演したライバー達のいる場所に入っていった。
「いまなんじの皆お疲れー!」
「お疲れ様ですー」
華達のいる部屋に入った二人は終わった後の二人を労う言葉を話す。
「ええと、そちらの金髪の方は⋯⋯」
「あっ僕ですね、ナイトハルトの中の人やってる
「そんで俺が閃光のシュバルツの中の人やってる
「あっご丁寧にありがとうございます、私が浮雲ふわりの中の人やらせてもらっている空木華です」
「⋯⋯ぼくは聖曽なのの中の人をやってる
「まぁ、今日は顔合わせだけだからそんなに緊張しないでくれ、それに俺達は子供もいるし君達とそういう関係になりたいわけじゃないからな」
「まぁそうですね。また会う事もあるでしょうし、よろしくお願いしますね」
「はい!(それにしても姫村って珍しい苗字ですね、私の知り合いのVtuberのゆかちゃんもなんですよね、まさか父親だったりします?⋯⋯まぁそんなわけないでしょうけど。)」
優斗の耳元で華がそうささやく。
「うぐぅぉ⋯⋯」
耳元で気にしていたことを言われた優斗は思わず呻き声をあげてしまった。
「えっ?先輩?どうしたんですか?」
「どうかしましたか⋯⋯?」
「そんな事、普通あります?」
「頼む、聞かないでくれ⋯⋯」
「沈黙は肯定に取られるっすよ先輩⋯⋯」
「お父様って呼んでもいいですか!?」
「キミキャラ変早いな!?」
「息子さんをぼくにください」
「キミもキミで唐突すぎないか!?というかなんで俺の子が男だと分かった!?」
「いや、でもぼく的にはお父さんの方も悪くは無いと思うの。 女装とか興味ないの?」
「いや、俺には愛する妻がいるから、無理」
「ざんねんなの⋯⋯女装だけでも見てみたかったの⋯⋯」
「何で俺にそんなに女装させたがるんだよ⋯⋯」
その後軽い雑談をしてこの日は解散となった。
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