38:撮影準備!

 今日は急遽入ったモデルのアルバイトがある訳だけど、迎えの時間までまだ結構あるので、僕は薫さんと由良さんの三人でホテルの近くにある喫茶店の中で人気そうな場所へ向かい朝食を食べていた。


 ちなみに由良さんは予定も無いって事で僕達と一緒に三日後に帰るって話になっているよ。

 夏休みを少し伸ばしちゃったから後で頑張る!って意気込んでいたよ。


 僕がサンドイッチを食べていると、今から向かうという連絡が入ったようなのでささっと食べてホテルの入り口に戻る事になった。


「ふぅ、コミケの撮影と違ってしっかりとした撮影なので少し不安です⋯⋯」

「大丈夫、ある程度はスタッフさんが指示を出してくれるから言う事聞いておけば余程失敗はしないと思うよ」

「はい、ありがとうございます!」

 薫さんがアドバイスをくれたので素直に言う事を聞くように心がけよう。


 そして待つ事数分、ホテルの前に黒い車が停車した。


「お待たせしました、副社長より聞いていたかと思いますが今から撮影場所への送迎をさせて頂きます宮野と申します。短い間ではありますがよろしくお願いします」

 中からとても丁寧な口調で話す男性が現れた。


「「「こちらこそよろしくお願いします」」」

 僕たちは口を揃えて挨拶した。


 それから移動し、まずは衣装を合わせるためにGloryCuteの本社へと向かう事になった。


 車が本社ビルの前に停まると僕たちは車を降り、中へと入っていくと、入り口の所にマネージャーさんが待っていた。


「ようこそ、優希ちゃん、薫ちゃん、由良ちゃん、今日は来てくれてありがとう」

「いえ!それにあんな金額そうそう学生じゃ稼げないですしむしろ有難いくらいです!」


「私でも五万円なら飛びついちゃうかも」

 由良さんが笑いながらそう言った。


「いや、薫ちゃんにも言ったけど本当に切羽詰まってたのよ、今日一緒に撮影する子うちの売れっ子でね、撮影スケジュールがもうびっしりなのよ」

「なるほど、だから代用立ててでも撮影したかったって事なんですね!」

「そういう事ね、それじゃ時間に余裕もあまりないし、優希ちゃん案内するからそこで衣装合わせしてもらってきてねぇ」

「分かりました!」


 そう言って僕は案内された部屋に入ると中には沢山の服が用意されていた。

 その部屋の中で1人の女の人が椅子に座って僕の事を待っていたようだった。


「君が言ってた子だね、うーんちょっと色々イメージするからそこで立っててもらえるかな?」

 彼女はそう言って大きな姿見の前を指差した。


「はい!」

 僕は返事をすると姿見の前に立つ。


「うーん、秋物で姉妹コーデだから⋯⋯」

 彼女は一人で呟き始めると、掛けられている服を取り僕の隣にあるハンガーラックに掛け始めた。


「これとこれもいいかな⋯⋯」

 彼女は僕の前に服をぶら下げたりしながら服を更に選んでいく。


 結構な時間が経つと彼女の服選びは終了したらしく、僕の隣には結構な量の服が掛けられていた。


「よしっ!こんなものかな?」

「えっと、僕はどれを着ればいいんですか?」

 僕は気になって仕方なかったので彼女に聞いてみた。


「んー、下手すると、全部?」

「えっ?」


「とりあえずこの服を持って行くから次は撮影地に行く前に君のお化粧やっちゃうね」

 彼女はメイク担当の女性を呼ぶと服を持ってどこかへ行ってしまった。


「はーい、じゃあ次は私がメイクやっていくからよろしくねー」

「は、はい!お願いします!」

「いやー君の顔本当に女の子みたい、お肌もっちもちだね!」

「そ、そうなんですか⋯⋯?」

 流石に自分のお肌事情を他人と比較なんてした事ないからよく分からないかな。


「かなりもちもちだね。

 それじゃ、メイクやっていくよ」

 彼女の目が真剣になったかと思うと物凄い手際の良さで僕の顔がどんどんと彩られていく。


「⋯⋯よし、出来た」

「こ、これが僕、未だに慣れないなぁ⋯⋯」


「ふふっ、良く似合ってるよ」

「ありがとうございます⋯⋯」

 お礼を言ったのはいいけど男としてどうなんだろう、もう考えるだけ無駄なのかもしれない。


「それじゃ、次は移動するからついてきてね?」

「はい!」

 僕はメイク担当のお姉さんに着いていき薫さんたちが待つロビーに向かった。


「お待たせしました⋯⋯」

 僕はロビーで待っていたマネージャーさんと薫さんと由良さんに合流した。


「おかえりなさい、今日も似合ってるよ優希くん」

「うんうん!今日もいい感じだね!」

「やっぱりお化粧すると映えるわねぇ⋯⋯」


「えへへ、ありがとうございます」

 褒められるのは悪い気がしない、でもまだちょっと羞恥心が残ってるのは仕方ない。


 外へ出ると僕たちは大きな車に乗せられ撮影現場へと向かうことになった。



「えっ?もう代役が見つかったんですか?」

わたしはびっくりして聞き返してしまった。


「そうなのよ、しかもとびっきりの可愛い子でね、明日また迎えに行かせるからよろしく頼むわねぇ」

「はい、わかりました!」


「あーそうそう、もし撮影早く終わっても居たかったらギリギリまでこっちに居てもいいからね、夏休み少しくらい楽しみたいでしょう?」

「えっ?いいんですか?スケジュールは⋯⋯」


「だ・か・ら!早く終わったらの話。

 まぁ遥ちゃんなら卒なくこなすと思うからアタシは心配していないけれど」

「あ、ありがとうございます!

 一度その、アキバとか行ってみたかったんです⋯⋯」


「あらいいじゃない、オタクの聖地の一つよね、アタシも久しぶりに行きたいわねぇ」

「えっ?マネージャーさんもオタクだったんですか?」


「アタシは可愛いものオタクよ。

 家にだってファンシーグッズ一杯あるし、可愛い系のフィギュアとかも結構あるのよ?」

「な、なんか意外ですね」


「皆に言われるわ」

「あはははは⋯⋯」


 そしてマネージャーさんとの電話が終わったわたしは明日に備えて早く寝る事にした。

 睡眠をしっかり取るのは美容において大事なことだからね。


 朝になり準備をしたわたしは本社へと向かい衣装合わせとメイクをしてもらう。


 今回は衣装を乗せたロケ車は二台に分かれるようなのでわたしはロケ車の中で待機していた。


 すると今回一緒に撮る子の準備が出来たようなので現地へ向けて車は出発した。


 早く終わらせてアキバに行ってみたいな。

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