25: 女装しながらゆるママとオフコラボ!(後編)

『あう、あの、ゆるお姉ちゃん?』

「どうかしたの?ゆかちゃん」

 ボクは羞恥心が限界に達したからゆるママに声をかけた。


『その、流石に恥ずかしい⋯⋯から』

「んー?聴こえないなぁ⋯⋯?」

 恥ずかしいせいか小さな声しか出せない。


『恥ずかしいから降ろしてほしいなって⋯⋯』

「あと十分、いや五分でいいから!!」

 勇気を出して声を大きくして降ろして欲しいと告げるもあと五分だけと言われたのであと少しの我慢と思って頑張って耐えることにした。


 最初は恥ずかしすぎてどうにかなっちゃいそうだったけど、ボクの頭を嬉しそうに撫でるゆるママの姿を見るとダメなんて言えなかった。


 でもこの恥ずかしさだけはどうにかしないとボクが死んじゃう。 何かマシになるような事を考えないといけない。


 この状況だけを見ればきっと微笑ましい姉妹のように見えるんだろうけどボクは男。


 ⋯⋯姉妹?

 そうか、ボクは今からゆるママ、いや、ゆるお姉ちゃんの妹だ。


 ボクは妹、ボクはゆるお姉ちゃんの妹。

 ずっと頭で反復し続けていると、ボクの意識は少し曇りがかってきた。



「ーちゃん!

 ーかちゃん!」


「ゆかちゃん!」

『ふぁ!?』

 ボクは眠っていたのだろうか、とても気持ちのいい夢を見ていた気がする。


「よかった、やっと正気に戻ってくれた⋯⋯」

『えっ?正気にってどういう事?』


「いや、えっと、その⋯⋯なんというか⋯⋯覚えて、ない?」

 そう言われて記憶を探ってみる。


『あっ』

 ボクが意識が曇りがかっていた時にゆるママに言った内容や行動についての記憶を全て取り戻した。


『う、うわあああああ!

 ボク、ボク、いやあんなこと言うつもりこれっぽっちも無くて!』


:ゆかちゃんめっちゃ焦ってる

:本人からしたら死ぬほど恥ずかしいんだろう

:でもあのシーンだけ観てると幸せそうだったよね

:何度でも観れる

:はぁ、死ぬかと思ったぜ


『なんでボクはゆるママの妹なんて思い込んでたの!?

 ボクのバカぁ!男なのに何考えてるのボク!』


:は???????

:よっっっっっっしゃああああああ!!!!

:唐突な性別発表ォォォォォォォォ!!!!

:リアル男の娘ォォォォォォォォ!??!?

浮雲ふわり:えっ?

:生きてて良かった....

:あっ...ここまで最高の男の娘を見たのは私、初めてでして、こうなんといいますか、感動って言うんですかね

:なげーよ!!!

:いやああああああああ俺預言者ァァァァァァ!

:なんかいて草


「ゆかちゃん!?まだ配信中!配信中だよ!?!?」

『えっ⋯⋯』


そしてコメント欄を見てボクは悟った。


『お、終わった⋯⋯』


:終わってないで

:むしろこれがスタート

:ゆかちゃん更に推せるわ

:というか男の子だったらこんな美人なお姉さんに膝枕されて頭なでなでとか拷問だわな

:むしろよく耐えたと言いたい

:はぁーてぇてぇ....

浮雲ふわり:ほ、本当に男の子...なの?


『うー!もう認めるよ!ボクは男!

 でも、今のボクは白姫ゆかとして見て欲しい、かな』


:男とは一体...

:いやむしろ女の子にしか見えない

:まって今思ったんだけど男の子なのに声そんなに可愛いとかなんなの?

:確かにボイチェンではないよね


『ボクのこの声は地声だよ、白姫ゆかとしての声はちょっとだけ作ってるけど、ベースは地声なんだよ?』


:歌う時に人の声が変わったりするやつと同じか

:どちらかと言えば演技じゃね?

:まぁどっちでもいいけどゆかちゃんは可愛い、いいね?

:当たり前じゃん、前以上に推せるわ

:ねぇ、お姉ちゃんにも撫で撫でさせてくれない?

:ず、ずるい!私もゆかちゃんなでなでしたい!


浮雲ふわり

¥30000

生まれてきてくれて本当にありがとうございます、オフコラボの詳細はピヨッターで⋯⋯


:ふわちゃん壊れたwwwww

:もはや生まれてきた事に感謝してるぞこの人

:さり気なくさっき取った言質を速攻で利用してて草


『えっと、ボクはこのままでも大丈夫、なのかな?幻滅した?』


:感激まで覚えてる、これからも応援する!

:幻滅するなんてないない、むしろ期待してた展開まである

:失望しましたそんなに可愛いなんて酷いです

:夢中になってしまいました

:最初だけ見るとアンチコメに見える不思議

:俺の性癖...逝ってしまったのか...?

:性癖歪められてる奴までいて草


『えっと、ならよかった⋯⋯のかな?』


:安心して少なくともここにいる奴らの大半はむしろ喜んでる

:ご褒美なんだよなぁ

:はい優勝

:ゆかちゃんはそのままのゆかちゃんでいて


「それじゃあ重大発表終わったところで、衣装変更に行こっか」


『うぅ⋯⋯男ってバレた上に衣装変更とか一種の罰ゲームだよぉ⋯⋯』


:なぁ、本当に男の子なんだよな...?

:俺も自信無くなってきた...

:私より可愛いもん、自信無くす...

:勝てる要素が男らしさだけで泣ける

浮雲ふわり:私たちにとってはご褒美だから罰ゲームなんて言わないで!

:そうだそうだ!

:ふわちゃんいいぞ!!!


『うっ⋯⋯そ、それじゃあ行ってくるね!』


:逃げたw

:うーん可愛い

:あー最高


「ふふ、皆から可愛がられてゆかちゃん羨ましいね」


浮雲ふわり:私は今貴女が一番羨ましいですよー

:わかる

:わかるわぁ

:わかるわ

:みーとぅー


 それから十分ほど雑談を続けていたゆるママだったが、その雑談の終わりを告げるノックが部屋に響いた。


「来た⋯⋯ね」


:ごくり

:やべぇ緊張してきた

:わくわく

:ドキドキする


『えっと⋯⋯どうかな?』

 そこには白いフリルドレスに身を包んだ白姫ゆかの姿があった。

 頭には物語の中で王女が着けるようなものではなく、黒いカチューシャが着けられていた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ⋯⋯」


:お姫様か??????

:ふつくしい....

:普段はお嬢様言葉で話すお姫様が二人きりになると自分をボクと呼び始める、なんて最高のシチュエーション...

:なんか物語作り始めた奴いるぞ

:誰かそういう漫画描いて


「さいっこう⋯⋯」


:ゆるママwww

:まぁ目の前にこんな子いたらそうなるわ

浮雲ふわり:一瞬意識が飛んでいましたー

:ふわちゃんも酷いwww

:最早ドラッグじゃないか(困惑


『うぅ⋯⋯流石にすーすーするから次いくね!』


:はぁ....男だからこそ出る言葉....

浮雲ふわり:私はなんで家にいるのでしょうかー

:わかる....

:わたしなんで仕事してるんだろ....休憩とかいいから早く終わらないかな...

:皆大変だな...


 そしてそこからまた色々と衣装を着た白姫ゆかであったが最後にとんでもない物を持ってきた。


『えっとこれがラストなんだけど⋯⋯』


:いかないで

:もうやめて...しぬ....

:ぁ....ぁ....

浮雲ふわり:もうだめですしんじゃいます


 最後の衣装は有名な不思議の国の◯リスの衣装をベースに現代風にアレンジされた衣装だった。 おまけに大きなうさぎのぬいぐるみを抱いている。


:あああああああああああ!!!!!

:最後に!!!!王道の!!!!コスプレ!!

:卑怯だろおおおお!!!!

浮雲ふわり:ぁぁぁぁぁぁぁぁ可愛いよおおおおおお!!!!抱っこさせて!!!!!!

:抱きしめたい可愛さ....

:どこで....抱きしめられますか...?

:お姉ちゃんの妹になって....あれ?弟?


『どう?可愛いでしょ?今日の中で一番気に入ってるんだ♪』


:可愛いです....

:死ぬほどかわいい....

浮雲ふわり:にあってるよぉぉぉ!!!

:さいこう....

:生きてぇてぇよかった....

:なんか混ざってるぞ


『それじゃあ時間も来ちゃった事だし、りすにぃりすねぇ、ううん』


『お兄ちゃん、お姉ちゃん、コミケよかったら遊びに来てね!約束だよ!』


:いく

:いくうううう

:絶対いぐ!!!!!

浮雲ふわり:もう向かってますー

:いくからねえええ!!!!

:わたしもいく!!!!!


『いやふわりお姉ちゃん早すぎるよ!?』


------この配信は終了しました------

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