心旅行
神無月 皐月
第1話 出発
俺は、井口
何処にでもいる唯の23歳の社会人だった。
今は平日に私服で本屋に入り浸っている。
それが心の平穏を保つ唯一無二のクスリだ。
古本が置いてある店は尚良い。
昔は身体を動かすことが好きだった。
社会に出てすぐに趣味から興味が薄れた。
決して甘えていた訳ではない。
どう足掻こうが社会に対して俺自身が不適合者だった。
何をしてもある程度出来る。でもどう努力してもある程度までしかできなかった。
努力は自分を裏切らない。結果を裏切る事はあるけれど。
そんな中沢山の本に囲まれていると自分の劣等感と優越感を物語に預ける事ができる気がする。
匂いを吸うと自分の中に癒やしが流れ込んでくる。
さて今日は何を手に取ろうか。
少し現実を離れてたSFにしようか。
それとも完全に忘れてしまった気持ちを復活させるべくラブコメにしようか。
カラン。
何か落ちた音がした。どこから来た音なのか分からない。
気のせいだろうか。
「ん?」
本棚の下にキラリと光る細やかなものが沢山落ちている。
その光の粒に触れた瞬間、目の前の景色が変わった。
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