死神探偵のMasquerade
九龍 廉
第1話
ーーーー都内の某所。
時計の針は3時を刻む頃。
窓は開け放たれ、冷たい風がカーテンをヒラヒラと揺らす。部屋の照明は消えたり点いたりを繰り返し不気味に思える。
当然、ベッドで寝ているはずの住人の姿は、部屋の何処にも見当たらない。買い物に出掛け留守にしているのだろうか。 しかし、こんな夜更けに外出するには考え堅い時間だ。余程な事でもない限り自分なら面倒だと考え、出掛けるのを諦め寝てしまうだろう。
だが、現に窓には鍵が掛けられてはいない。非常に不用心極まりない。すぐに戻るつもりで開けていったのか、これでは泥棒に「どうぞ、入って下さい」と言っているようなものだ。
誰も居なくなった部屋は逸そう不気味さを増す。
風と共にキィーキィーと、耳障りな奇怪音が時折聞こえてくる。
ふと床に赤黒いシミのようなものが、ポタッポタッと不規則に上から床へ落ちてくる。
微かにその時、何か影のようなモノが通り過ぎた。
血の付着したのを隠すかのように、パーカーを羽織り人目を気にしてなのか、目深にフード被る。背はそんなに高くはないだろう。その人物は左の下唇辺にほくろのある華奢な方だ。
「…………」
一度立ち止まったが、振り向くことなくフードを被ったそいつはドアノブに手を掛け、ドアを素早く開けるとその場を逃げるように立ち去る。
それから翌日の朝のこと。
3日前よりメールの返事がなかったのが気になり、少女は1人で親友の部屋を尋ねた。
しかし、いくら呼び鈴を鳴らしても全く反応がないのを不思議に思い、玄関のドアノブを回すとカチャリと開いて不安が過ぎる。
え?開いてる?
鍵かけ忘れたのかな、
一瞬、どうしようかと悩んだが、結局少女は中へ入ることにした。
もし、中で親友が倒れて居たらと思ったからだ。
リビングに続く廊下を歩いて進み、ドアの前に立つと不意に影が見えた。
なんだ、居るんじゃないと少女は安堵し、ドアを開いた瞬間、目の前にある光景に思わず叫んでいた。
「ーーいやぁぁぁ!」
そこには、変わり果てた少女の遺体があり、ドアを開けられた為、細い紐状のモノが緩まり足が床に近付いていた。
白い肌はより逸そ青白く見える。白のワンピースは赤黒く染まっている。血が固まったのだろう赤黒く変色していた。
その後の警察の調べで判明したのだが、複数箇所に鋭利な刃物で滅多刺しにされており、遺体の損傷はかなり激しい。死後四、五日といったところだ。
被害者の氏名は
この近くの
同学年では一番仲の良かったのが
酷くショックを受け、事情聴取もなかなか思うように進まず捜査は難航を極める。
連日のようにテレビや新聞等挙って取り上げられ、校内でもその話で持ちきりだ。學園側としても何らかの対策を早急に講じる必要があると保護者会が騒ぎ立てていた。
事件とは無縁のこの街で実際に起きた奇怪な事件である。 情報が交錯し根もはもない話だけが独り歩きを始める。
死神探偵のMasquerade 九龍 廉 @96Ren
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