11.ライト・サイドの小径⁣⁣⁣


⁣⁣⁣大好きな映画シリーズがある⁣⁣⁣

⁣⁣⁣初めて観たのは子供の頃⁣⁣⁣

⁣⁣⁣宇宙を舞台にした壮大な叙事詩⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣遙か彼方の銀河で繰り広げられる⁣⁣⁣

⁣⁣⁣空想上の主人公達の冒険が⁣⁣⁣

⁣⁣⁣子供時分には現実のように思えた⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣その映画は三部作として作られ⁣⁣⁣

⁣⁣⁣数年ごとに続きが公開された⁣⁣⁣

⁣⁣⁣それを待ち焦がれたあの高揚は未だに残る⁣⁣⁣


        ✿


⁣⁣⁣そんな作品の第二部で⁣⁣⁣

⁣⁣⁣若い主人公が師の元で修行する⁣⁣⁣

⁣⁣⁣自らの心の弱さと対峙する場面⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣修行に没頭していると暗闇に迷い込む⁣⁣⁣

⁣⁣⁣暗がりに突然 いるはずのない敵が現れる⁣⁣⁣

⁣⁣⁣主人公がもっとも恐れる相手だ⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣夢中で立ち向かううちに⁣⁣⁣

⁣⁣⁣強大なはずのその敵を⁣⁣⁣

⁣⁣⁣主人公が倒してしまう⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣倒れた敵はしかしよく見ると自分自身だ⁣⁣⁣

⁣⁣⁣あっけなさの後に虚脱感と混乱が襲う⁣⁣⁣

⁣⁣⁣自らの弱さを具現化する闇⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣リアリティのある空想描写が際立つその映画の⁣⁣⁣

⁣⁣⁣その場面だけはどこか抽象的で⁣⁣⁣

⁣⁣⁣子供の僕には理解しづらかった⁣⁣⁣


        ✿



⁣⁣⁣ずいぶん時間がかかったけれど⁣⁣⁣

⁣⁣⁣今観ればそのシーンはとてもしっくりくる⁣⁣⁣

⁣⁣⁣よく似た心の錯覚を知ったからかもしれない⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣例えばこの小道⁣⁣⁣

⁣⁣⁣奥へじっと心を向かわせると⁣⁣⁣

⁣⁣⁣ふっと人が現れるような気がしてくる⁣⁣⁣

⁣⁣⁣⠀⁣⁣⁣

⁣⁣⁣それはきっと今の心がもっとも必要とする人⁣⁣⁣

⁣⁣⁣だからこの道をこう呼んでみた⁣⁣⁣


「ライト・サイドの小径」⁣⁣⁣


⁣⁣⁣大好きな映画のそのシーンの舞台

「ダーク・サイドの洞窟」になぞらえて⁣⁣⁣




–––✧✧✧–––– ❖ ––––✦✦✦–––




(写真を近況ノート”「11.ライト・サイドの小径⁣⁣⁣」のノート”に載せました)

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