5.アクアリウムの底から



曇りだったある日、よく行く散歩道を歩いていたら、畑の畦に群生するスギナが目についた。


向きを揃えて伸びるたくさんの緑がときどき風に揺れる様子は、アクアリウムの底の水草のようだった。


曇りの日の夕方はそれほど明るくなかったけれど、スギナからアクアリウムを連想した途端、見えるものすべてから光が放たれているように思えた。


そのとき感じたことを、一行の字数を同じになるようにして、詩のように表してみた。



        ✿



空に雲多く 陽傾く頃は灰色すら遠のく



も光届かぬ水底にいるよう にも見え



れど 緑は緑の色を土は土の色を成す



そこここから我が網膜に届く 存在の光



瞼を閉じて心を開き 静かな証明を拾う



己 鮮やかならざれど確かに光放たれし



–––✧✧✧–––– ❖ ––––✦✦✦–––



(写真を近況ノート”「5.アクアリウムの底から」のこと”に載せました)

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