第1話 魔獣使い<ビーストテイマー> 人間サイド

人にはできない飛行能力や魔法を使うことが出来る魔獣

そしてその魔獣に指示を出し完璧なチームワークで困っている人を助ける魔獣使い

そんなヒーローのような魔獣使いは

ここ数年子供たちのなりたい職業ランキングで一位を獲得するほど世間に認知され浸透していて、またなることが難しい職業である


そして長い冬が開けた今、毎年恒例にもなっている行事が行われる

それは魔獣使いを育てる学校の入学式だった

基礎教育を終えたばかりのものを対象とし毎年世界中から数千数万の若者が試験を受ける

知識、体力はもちろん素行の良さや性格も判断され、受かるのは毎年100人と言われている


ここ、ビテス学院は数ある魔獣使いを育てる学院の中でもかなり古くある由緒正しい学校で、ここを卒業すれば様々な事務所や大手企業に必ず就職できると言われるほどの名前ブランドの強い学校である

そんな入学生たちの最初の行事は式ではく魔獣を召喚する儀式だった


「今から文字の早い順で名前を呼びます。呼ばれた生徒からここに1列で並んでください」


よく見る魔法使いのような三角帽子を被った中年の女性が魔法陣のような物の前に立ち、ノートのような名前の一覧が書かれた紙を見る。その光景を生徒たちは緊張や不安、期待を胸にみつめている


「アイセス・モントレア」


女性が名前を呼ぶと辺りがざわつく

「はい」

スっと立ち上がったその男はまるで貴族のようだった。真っ直ぐな姿勢と整った髪型と顔。化粧もしているだろうか。

「お願いします」

女性の前に立つと女性が魔法陣の前へ誘導する

何かを男に伝えると男は手を魔法陣に突き出し、唱え始めた

「満たし満たせ、血と血、肉と肉。汝の力契約によって」

唱えると魔法陣から青白い光が発する。

そして今度はおとこが青白い炎に包まれる

炎が消えると、魔法陣の光も消えそこには

キツネがいた

「よしっ」

男はその可愛らしいキツネを抱え、ガッツポーズした。

「魔獣を召喚できたものは寮母さんから魔獣小屋の場所を聞いてください」

女性が言うとキツネを抱えた男は近くの扉から出ていった

それから何人もの生徒たちが召喚を試みた

魔獣をみて落胆するもの、喜ぶもの。

そして、魔獣を召喚することが出来ず悲しむもの

そんな様々な人がいる中、事件が起きる。


「リリー・オッペル」

「はい!」

呼ばれた女は前へ歩き出す。金髪で瞳は青く輝いていた。

魔法陣の前に立ち、言葉を唱える

魔法陣が青白い光に包まれる。

そして、リリーも光に包まれた。さっきまでと変わらない。ここまでは…


「え??」

あたりが騒然とする。

「どういうこと?」

三角帽子の女性も驚いている

それもそのはず、この魔法陣はいわゆる魔獣の住む世界とこちらを繋ぐゲートのようなもので向こうから魔獣がやってくる。

光が出た時点で成功していて、向こうから魔獣がやってくるはず、


「え?君たちもしかして人間!!

俺人間初めて見るんだ!ここどこ??」


ここに来たのは魔獣ではなく裸の人間だった

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