もしかして1からいけちゃうタイプですか⁉︎

先程僕が作り出した(恐らく)オリジナルの魔導書、はてさてどう言った代物なのか…


「この、省魔力verって…」

「恐らく、文字通りの意味かと」

「じゃあ、僕でも使えたりするのかな?」


当然こんな魔力量じゃ魔法の発動なんて夢のまた夢だった。正直いってかなり興奮している。


「『火球ファイヤーボール』」


僕の手には、しっかりと火球が出現していた。


「ほ、本当にできた…」

「おめでとうございます!この理論が本当なら、魔力量が少ないという問題を解決したも同然です‼︎」

「確かに。自分で改良が必要だけど、これで僕も魔法が使える…」


ふと、疑問に思った。


「これ、完全にオリジナルなものも作れるのかな?」

「というと?」

「今回は、元ネタとして魔導書があったじゃん?これを無しで、1から魔導書を作るってこと」

「私には想像も出来ませんが…セピア様ならできるんじゃ無いですか?」

「なにその確証の無い自信は」

「いえ、真っ当な意見ですよ?」


まあ、たった今魔導書を作ったしな。そう思うのも無理はない、のか?


「じゃあ、やってみるか…」


正直できるとは思っていなかったが…」


「なんだこれ…」


普通の人には訳の分からない文字の羅列に見えるであろう魔導書。さっき火球ファイヤーボールの魔導書を読んだときになんとなく察してはいたが…


「ユニークスキルのお陰か、魔導書の意味がわかる」

「本当ですか?なら、知識さえ付ければ…」

「うん、オリジナル魔法の作成も夢じゃないのかもしれない」


ただ、現段階では解読ができるレベルでそれぞれの単語がどういう効果を発揮しているのかあまり分からない。

これは勉強が必要だな。


「けど、そこまで時間はかからないと思うよ。意味はわかるんだし」

「でしたら、もういくつか魔導書を買って来ましょうか?」

「うん、今度は火属性以外の、中級魔法にしてくれないか?」

「でも、だいぶお金がかかりますよ?」

「これが出来れば、安定した収入を得れるかもしれないからね」

「分かりました」


アリスが買い物をしてくれている間に、僕は魔導書の解読を進める。


「なるほど…」


分かったのは、どれだけ完成後のイメージを明確に抱けるかが成功の秘訣だということ。逆に言えば、イメージさえできればあとはスキルがなんとかしてくれる。


「中々大変だぞ、これは」


なにせ、この世に存在しないものを明確にイメージしないといけないのだ。そんなのイメージのしようがないように思えるが…


「取り敢えず、火属性をアレンジしてみるか…」


**********


「ただいま戻りました。えっと、それは?」

「固有オリジナル魔法だよ‼︎」

「まさか、本当にできたんですか?」

「うん、だいぶ荒いけど」


僕が作ったのは、火属性の炎を体に纏い魔法攻撃への耐性を上げるというもの。名前を『火炎鎧ファイヤーアーマー』。ただ、初の作成なので魔力消費量は僕の許容量ギリギリだけど。実践で使うには改善が必要だろう。


「一応、氷魔法と光魔法の魔導書を買って来ました。…光魔法は高くて初級ですけど」

「ありがとう」


なぜ光魔法が高いのか?それは単純、魔導書があっても使えない人がほとんどだからだ。光魔法を扱うには生まれ持った適正が必要で、適性持ちは『聖女』と呼ばれている。ちなみに、適性を持った男性は今の所存在しない。


「えっと、氷魔法は…」


氷属性中級魔法『凍傷アイスエフェクト』、被弾した生物の関節等を凍結させ、一時的に動きを鈍くする。中級だけあって、当然僕の魔力許容量をオーバーしている。発動したが最後、数日は動けないだろう。僕は知らなかったのだが、効果時間中は氷結の継続ダメージも入るそうな。支援系の魔法だと思うけど、結構効果は有用だな。


「なんか上級魔法には仰々しい名前のものもありましたけど」

「あはは…」


この世界の魔法の特性として、上位のものになる程当て字が臭くなっていく。名付けの親が徹夜続きだったのかなんなのか…


「光魔法は…うわ、これまた」


光属性初級魔法『回復ヒーリング』対象者の傷を癒す。たったこれだけ、けれども魔力量は先ほどの氷属性魔法に匹敵する。適性が必要な上にこの効果なので、一見需要がないように思えるが…光属性魔法じゃないと回復しない状態異常も存在するし、何よりポーションが必要ない。戦闘コストが大きく下がるので、お財布へのダメージ軽減なのだ。それが、高いけどつか得る人は重宝される光属性の実情なのだ。


「取り敢えず、色々作ってみるよ」

「はい。それで、安定した収入って何ですか?」

「うん、僕でも使える魔法がある程度完成したら冒険者になろうと思うんだ」

「冒険者…」


冒険者。そこらじゅうに沸いてる魔物の討伐を主な仕事としているが、重要施設の警備や捜し物、魔法を使った大道芸まで…半ば何でも屋みたいな状態になっている。魔物討伐の依頼を受けたり、討伐した魔物から魔石や骨などアイテムを回収してギルドで監禁して収入を得ている。


「セピア様、それはいささか危険かと…なにより、一人で魔物討伐に向かわせるなど…」

「だから、魔法を完成させるんだ。魔導書さえあれば戦えるような状態になれば、危険はだいぶ減るだろ?」

「そうですか…なら」

「ん?」

「私も付いていきます!」

「…言い出すと思った」

「セピア様だけに稼ぎを任せるわけにはいきません。幸い、体術はそこそこ得意なんですよ?」


そう、アリスの出身国セグネトは珍しく魔法が使われてない国。代わりに剣術や体術が発達してるらしい。


「まあ、いずれね」

「はい、セピア様だけだと不安ですから。変な女が近寄ってこないか…」

「何か言った?」

「 な、何でもないです(声に出てましたか…)」

「取り敢えず1週間くらいは、作成に時間を使おうかな」


あと、あの固有オリジナル魔法は二度と使わない。なぜか?暑いよ。


『作者後書き』一日空きましたね。こんな感じで適当に投稿していきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る