ブックメイカーの少年 〜魔力が少なすぎて実家を追放されたけど、コスパ最強のオリジナル魔導書が作れるのでなんとかなります〜
@Poke_0319
魔力量が少なくて実家を追放されちゃいました
僕はセピア・フリューゲル。4等貴族フリューゲル家の長男だ。自慢じゃないが、僕は幼い頃から頭が良かったと思う。周りからは「フリューゲル家の跡取にふさわしい」と言われ続けて育ってきた。だから当然、父上のあとを次ぐのは僕だと思っていた…
「セピア・フリューゲル。お前を追放し、貴族称号剥奪とする」
その自惚れは、儚く散った。
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私はジャランド・フリューゲル。4等貴族フリューゲル家の現当主である。この世界における貴族は1〜10等までで区分されるため、貴族社会においても身分は上の方に位置するであろう。そんな私には二人の息子がいる。長男のセピアと、次男のアラン。セピアは幼い頃から優秀で、当主にするに相応しいと思っていた。逆にアランは何かと適当で、気性が荒いところが目立つ。あいつを貴族社会の中で恥をかかないように取り繕うのにはとにかく苦労した。そんなわけで、私の中ではセピアに跡を継がせとようと思っていたのだが…
今日はセピアの16歳誕生日だ。この世界には15歳になると協会で儀式を受ける。そこで魔力量と持っていればユニークスキルの有無が確認できる。この世界では魔導書を使って魔法を発動する関係上、魔力量がそのまま本人の立場になると言ってもいいだろう。幸いにも、我が家は代々魔力量が多く、ユニークスキルにも恵まれている傾向にある。だからセピアにも期待していたのだが…
『魔力量:E
ユニークスキル:魔導書作成ブックメイカー』
この有様である。因みに魔力量はE〜Aで洗わせるため、最低である。因みに、この世界には魔導書職人という職業が存在している。文字通り、魔法使いが使うための魔導書を機械的に作るという仕事だ。これはある程度の魔力量があれば誰でもできる仕事なんだが、セピアのユニークスキルはそれのための物らしい。呆れた、魔導書作りと言ってもその実情は太古の昔に生み出されたものをコピーしているだけ。ユニークスキルなど必要ないだけでなく、貴重な枠をそんなゴミスキルでうめてしまったことになる。
因みに、アランも15歳になっているので受けさせてみた。本当はセピアが15歳になった時点で受けさせても良かったのだが、私が二人同時に見たいがために送らせた。その結果は…
『魔力量:A
ユニークスキル:炎魔術師フレイムマスター』
最高だ!素晴らしい!魔力量が最大であるだけでなく、火属性魔法の威力が上がるらしいユニークスキル。歴代の当主の中でも軍を抜いて力がある。よくやったぞアラン、これでフリューゲル家は安泰だな。
よって、私はアランを次期当主として、セピアを追放することにした。
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しょうがない、そう思うしか無かった。だって魔力量はE、ユニークスキルはあっても魔導書職人用だと思われるゴミスキル。こんなんで当主が務まるほうが不思議というものだ。
「セピア様、どうなされたんですか?」
この人はアリス。このフリューゲル家の使用人で、僕の側付きでもある。
「アリス…実は僕、この家を追放されちゃった」
「…理由をお聞きしてもいいですか?」
「僕の魔力量が原だよ。この世界では魔導書を扱わないといけないっていうのに、ろくな魔力量がない」
「セピア様は悪くありません。本当に…」
「何泣いてるんだよ」
こんなこと言ってるが、本当は嬉しかったりする。僕の追放がきまってから使用人たちは明らかに僕に関わろうとしない。そんななか、アリスだけは僕と一緒に居てくれる。本当にありがたい。
「セピア様、今後はどうされるんですか?」
「イルージュの端ほうに今は使ってない別邸があるから、そこに住まわせるつもりだそうだ。寂しくなるなぁ、アリスともこれでお別れか…」
「はい?何を言ってるんですか?」
「ん?」
「私は何処までもお供しますよ。それとも、お邪魔でしたか?」
アリスが上目遣いで聞いてくる。僕小さい頃から思っているんだけど、可愛い人の上目遣いってなんでこんなに破壊力あるんだろう。これを応用して兵器とか作れないかな?
「いやいやまさか…じゃあ、着いてきてくれる?」
「はいっ!」
僕、セピア・フリューゲルは16歳にして、実家を追放された。
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作者後書き:なろうに投稿してるものを転載してきました。更新は不定期です
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