だんだん高くなるコップ
それは今にも溢れてしまいそうだった。
理解できないありとあらゆるものが混ざりあった混濁とした何かが生み出され続け、そのコップに注がれ続けていた。
その水位はみるみると高くなってコップのフチまで到達し、それはもはや表面張力のみでギリギリ踏み留まっているいるという状況だった。
もはや限界かと思われたが、そのコップは突然高くなった。
少しの余裕が生まれるが、それでも混濁とした何かは注がれ続けられる。そして、それが溢れ出しそうになる度にそのコップはさらに高さを上げる。
そうした事を何度か繰り返すうち、混濁した何かはその勢いを緩めた。
どうやら、もう溢れ出す心配はなさそうだ。
*
「分かったわ。とりあえずこんなインチキ商品を買ってきたことは許してあげる。今日はもう寝ましょう」
「インチキって何だよ……元はと言えばお前がー」
コップに注がれ続けた怒りの感情は、バケツを引っくり返したように私の全身から溢れ出したのであった。
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