運命の薬指に口付けを
雪片月灯
第1話 悪魔
悪魔として生まれた僕の、これは持論だけれども。
祈りとは呪いに変わりやすいものだと思うんだよね?
少なくとも今まで生きてきた長いような短いような時の中で、どの人間を見てもそう変わりはなかったからこそ言える言葉だと思っている。
どんなに清廉潔白な人間も、最初は綺麗な言葉を吐いて並べ立て、神にその身を捧げながら生きていると宣って、神を信じていれば救われると本気で祈っていた人間なんかも。
己に不利益が生じたり、いざ己が理不尽な死を遂げようとなった時。
絶望と憎しみを身の内で業火のように燃やしながら、命の一滴を失うその時まで、何もしてはくれない神に救いを乞い、伸ばした手が決して取られないと分かった瞬間。
愚かな人間は己が勝手に信じて、己を救ってくれなかった神を呪いながら絶望の中、死んでいく。
そんな人間は地獄に堕ちるに決まっているのにね?
人間というものはそういう身勝手で疎かで、浅ましい、そんな生き物。
そういう憐れなまでに可愛い生き物が、神が創った人間という『欠陥品』。
そう。僕にとっての『運命』の刻が来るまでは、確かに思っていた。
これは僕という悪魔が、いとしい魔女に出逢う為だけに用意された血生臭い物語。
愛を知った悪魔の、慣れの果て。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます