子ども編 秋花と強一
源泉中学校2年生で14歳の清水秋花は校庭を走っていた。5周目を走り終えた時、同級生に緑のペンキをかけた3年生の男子がホイッスルの形になった10匹の女王バチに腕を刺されているのが見え、秋花は失神した。
銭湯高校3年生で17歳の高見強一は倒れている秋花に駆け寄り、体を起こさせ塩分入りのゼリー飲料を渡す。
秋花は「ありがとうございます。私は源泉中女子マラソン部の2年生、清水秋花。実家は鎌倉駅の近くにあるとんかつ弁当屋です」と言った。
「俺は高見強一、銭湯高校の男子マラソン部3年生で校内放送もやってる。実家は鎌倉駅から歩いて5分のところにある『和紙便箋と封筒の店 高見』だ」
強一は気恥ずかしくなりながら、「源泉中学校3階の放送室に、27歳のイギリス人男性ルークさんが来た。午後4時から放送がある」と答えた。
午後4時。校内放送室から、ルークの声が流れて来た。『はじめまして。僕は日本で暮らして10年で元すし職人のルーク。動物や子どもの虐待、あおり運転、そしていじめが増えたと感じている。
5時から『ビーヘイバー』を始めるから、源泉中学校から歩いて15分の砂浜に来ること。遅れないように!』
秋花たちが午後5時に砂浜に着くと、小学生から大人まで40人の男女が集まっていた。背中まである茶髪のアメリカ人女性、ベル・ニューヨークは180センチの美人で、薄手の紺のパーカーを着ている。博人や桃、亮介と美月たちの姿もあった。
「『ビーヘイバー』に来てくれてありがとう。まず、禁止されていることから説明する」羽音を立てる毒バチたちの横に立っている美男ルークが、ホワイトボードを指す。
「スマートフォンやパソコン、ラインやツイッターを含むSNSは4週間、使ってはいけない」不満そうな声で「え~」と言う女子小中学生や高校生たち。
ルークが「他者に暴言を送った人は悔いるまで中学や高校に行くこと、就職もできず腕の痛みが治らなくなる」と言い終えると全員が静まり返った。
「最後に、僕の横にいる『いじめを止めるハチ』たちについて。毒針が5センチで小柄なのがオスバチ、8センチで羽と体が大きいのが女王バチ。
いじめをしたり、インターネットやラインなどで暴言を送った人の腕を学校や自宅で刺す。刺されると起こる腹痛や下痢、発汗などは君たちが悔いるまで治らない」
「連絡はメモ帳、食事は僕が持ってきた豆腐や高菜、ネギなどの食材を使うこと。銭湯に入れる時間は夜10時まで、鎌倉警察署の秋次郎さんたちも見回りに来る。相手の腰などを打ったり、飲酒をした人は失職し鎌倉警察署に送られる。
それでは、今日から4週間の内面変化期間『ビーヘイバー』開始!」40人は渡されたテントの中に入り、読書や調理などを始めた。
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