第11話 2人きりの図書室②
俺が座ったあと水瀬さんはまた本を読み始めた。
俺はというと特にする事も無かったので、貸し出しカードをペラペラと見ていた。
小学生の頃は2枚目に突入するほど借りている人がざらに居たけど高校生にもなると真っ白な人ばかりだなぁ……と思っていると、1枚だけ表裏びっしりと書かれているカードがあった。
誰なのか確認すると、やはり“水瀬真雪”だった。
勉強のために参考書か過去問題集あたりを借りているんだろうな、と感心しながら過去に借りた本の欄を確認すると、
“象でもわかる! 英語完璧マスター”というタイトルがお手本のような綺麗な字で書かれていた。
問題集には違いないけど……水瀬さん大丈夫か?
猿でもわかるならまだしも象は胡散臭すぎるだろ。
水瀬さんがよく分からなくなりながら、俺はさらに下の欄を見た。
“転生したら村人Aでした ⑴”
ん? これは確実に参考書ではない気がする。
転生に関する参考書とか厨二の気配しかしないし。
というか俺がよく読むラノベのタイトルにしか見えないのだか。
き、気のせいだよな、あの水瀬さんがラノベ読むわけ……ないよな?
もしかしたら誰かが間違えて水瀬さんのカードに書いてしまっただけかもしれないし、たぶんきっとそうだ。そう自分に言い聞かせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます