第9話 俺との共通点

僕と水瀬さんが所属した図書委員というのは、週に1回放課後に図書室の受付をしたり、本を並べ直すくらいの仕事しかないというかなり緩い委員会だ。

そして今日の放課後が初の活動だった。

「水瀬さんと2人っきりか〜、お前本っ当に運が良いな」

佐野が俺にまたそんなことを言ってきた。

そんな運喜んでお前にあげるよ。とか普段の俺なら言うところだが、今回は運ではないような気がしている。

なぜなら水瀬さんはからだ。

決まった後何度も考えたけど、理由は全くわからなかった。

水瀬さんと俺の接点は席が隣同士ということくらいで親しくはないし、俺が学年一のイケメンとかならまだ分かるがそこらによく居る至って普通の顔面だ。

俺と一緒にする共通点もなければ、メリットも思いつかない。

「佐野、質問があるんだが俺と一緒にいるメリットって何かないか?」

そう尋ねると少し黙り込んで

「メリットって……友達と一緒にいるのにメリットとかデメリットとか関係ねえだろ。楽しいから一緒にいるんだよ」

とちょっと感動する返答をした。

求めていた答えとは少し違うが。

「__なんかありがとうな。ちょっと聞き方が悪かった。俺にあって水瀬さんにないものってなんだ?」

「うーん……無いんじゃないか? 水瀬さんは完璧って印象しかないからなぁ」

と佐野は答えた。

まあ綺麗で勉強もできるみたいだから、そう考えるのも普通だと思う。

「やっぱりそうだよなぁ」

もう考えても全くわからないし……ひとまず今日の放課後は適当にやり過ごそうと決めたのだった。


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