はい、幼なじみに騙されます

「植付くん?右足と左足どっちがいい?」


「ど、どっちがいいって、な、なにが?」


 とてつもなく嫌な予感……!


「もちろん、切り落とす方の足だよ?」


 嫌な予感どころじゃなかった!実質の死刑宣告だ!これ!


「そ、それは勘弁して欲しいなぁ……なんて」


「は?」


 ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!目に光が無いよぉ、光どころか闇が澱んでるよぉ!


「ご、ごめんなさい!なんでもするから許してください!」


 男としてのプライドは無いのかって?死地にそんなもん持ってたら生き残れないぞ?


「言質、とったよ?植付くん」


「え?」


 何を言って……!


「ボ、ボイスレコーダー?!」


「あはっ、私が何も準備しないで植付くんからその言葉を出させると思った?」


 な、なにを言って……まさか!


「今までの全部演技か?!」


「当たり前じゃない!植付くんの美しいこの世の至宝とも言える足を私が切り落とすわけ無いわ」


 至宝かどうかはともかく……これはマズイ

 言質まで取られて、なにをお願いされるか……!


「じゃあ植付くん?私と……」


 ヤバい!絶対取り返しのつかないお願いされる!


「お前らー夫婦漫才はそろそろ終わりにしてくれー。授業始めるぞー」


「せんせえ"え"え"え"、ありがとうございますぅぅぅぅぅ!」


「うるさいぞー植付ー、このまま先生と結婚させるぞー」


 マジ神!クソ教師とか思ってごめんなさい!これから真面目に授業受けます!あと結婚は勘弁して!


「チッ」


 し、舌打ちしたよこの幼なじみ……怖っ


「あのクソ教師……刻んでやろうか……」


 刻むって何?!なにを刻むの?!


「植付ー放課後お前居残りなー」


「え?!なんでですか?!」


「先生と結婚させるぞーって言ったら、勘弁して!って思ったろー?それがどういう事かみっちり聞かせて貰うからなー」


 あれ……先生、怒ってらっしゃる?

 あとなんで思考読まれてんの?

 なに?俺の周りエスパーしかいないの?


「なぁ?植付?」


 あれ?先生の目、なんか獲物を狙う目をしてる気が……


「ふふっ、逃がさないよ?」













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