こういうのが読みたかった

こういった作品は基本、原作主人公が嫌なやつになったり、原作開始前にフラグ回避出来てたり、主人公が最強になったりするのだがそれがまずない。
(作品内の)原作ブレイクよりも、生前や(踏み台)自覚前の問題を乗り越えていく精神的成長がメインに書かれている。

また、主人公を素直に応援できる。
私はこういった作品によくある、自覚前の自分の行いをまるで他人ことのように考えているテンプレ主人公が嫌いなのだが、この作品の主人公はしっかり自分のこととして捉え、戒めている。
他にも、原作主人公に勝つためだけが目的ではなく、信念を持って努力しているのも好感がもてる。
そしてここが一番重要なのだが、登場人物を全員見ても、悪人が少なくそれぞれキャラがたっているのでヘイトが貯まらないうえ、読んでいて飽きない。

主人公の計画通りに物語が進む痛快さや、いわゆる勘違い系のインフレ気味な主人公強化をウリにした作品が多いこのジャンルで、主人公の思い通りにはいかないが、少しずつ成長して、自分で自分を認められるようになる全うな主人公成長ストーリーを書いた本作は、読んでいて爽快で、とても面白い。