CHAPTER 2

 仲睦なかむつまじく拠点の船に戻るユノアとルミル、それを最後に、モニターがブツリと途絶え、その紅紫色の瞳で食い入るように見ていた少女は、ふうと息を吐き、手慰てなぐさみに輝く星のような銀髪をいじった。

 ふと、胸元辺りに暖かい何かを知覚し、少女はセーラー服の胸ポケットを探ってみる。

 そこには、ユノアたちが使うカードより一回り大きい3枚のカードが入っており、その内の1枚が光り輝いていた。

 輝きは徐々に薄れ、人型の輪郭りんかくと分かると、それがルミルを描いたイラストだと分かった。しかもその服装が、ユノアがデザインしていた物と近い物に変わっている。

 驚きに目を輝かせ、少女は3枚のカードをもっとよく見る。

 それらは、まだシルエットしかない状態であり、1枚に付き3つの輪郭が見て取れる。その内の一つがルミルだった。

 どれも複雑な形のシルエットをしており、中には人型なのかどうか判別の難しいシルエットもある。

 きっとこれから先に、このシルエットがルミルのように明かされていくのだろう。

 そんな予感に、少女は胸を熱くし、後ろにあったモフモフのクッションに飛び込んだ。

 興奮が冷めるまで一頻りクッションに顔を埋め、短めのスカートから伸びる陶器とうきのような柔肌を晒す素足をバタバタと振った。

 やがて今の興奮に飽きると、次はどうなるのだろうと期待する顔を上げて、少女はカードを胸ポケットに戻し、モニターに向き直った。

 ブゥウン、とモニターは再び起動し、ユノアたちの姿を映す。

 少女はまた目を凝らして、その生き様を自分の中へ吸収する。


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