赤ずきん9
「うん?どうしたんだ二人共」
「オレ達もご相伴を授かろうと思ってな。良いだろ?」
「わ、私は悪いと言ったんだけど・・・・」
「うーん、大丈夫かな・・・・これから、買い物に行くけど━━━」
「それくらい、付き合うぜ。こっちがご馳走なるからな」
「・・・・王子様と買い物・・王子様と買い物・・・ゴニョゴニョ」
雫はゴニョゴニョと何言ってるか聞こえないが、茹でダコのように顔が真っ赤である。
「ここだよ。このスーパーで買い物していくから」
雑談してる内にスーパーに到着のようである。しかし、男一人に女三人だと目立つようで通り過ぎる買い物客の約8割は振り向く。まぁ、三人共に顔やスタイルが良いからな。モデルや芸能人って言っても通用しそうだ。
「それで、夕飯は何にすんだ?」
「そうだな・・・・人数がいるしカレーライスでいいか?」
「オレは腹に入れば何だって良いぞ」
「そう言って~本当は嬉しんでしょ?タカちゃんの手料理が食べれて」
「ばっ、バカ言ってんじゃないよ。何でこんな事でテンション上げなきゃなんないんだよ」
否定するも頬が紅く染まって、そっぽを向く渚。
「・・・・王子様の手料理・・・王子様の手料理・・・うへへへぇ」
雫が何か妄想でも思い浮かべてるのか美少女とは思えない声で笑ってる。これを見たお客も引いてる。
「雫ちゃんって変わってるね」
「根は良い
三人で雫の方を見ると、雫も気付いて???と首を横に傾ける。自分では分かってないようだ。
「ジャガイモ、人参、玉ねぎ、豚肉、カレールー・・・こんなものか」
カゴに入れた食材を確認し、レジで金を払ってみんなと合流する。
「みんなお待たせ。行こうか」
「いや~、楽しみだぜ。
渚は昔食べた王子たかしの料理を思い出しジュルリとヨダレが垂れそうになる。
「あれれ、さっきは腹に入ればなんたらって言ってなかったけ」
「そんな昔のこと忘れたな」
杏璃と渚が睨み合ってる。
「まぁまぁ、二人ともケンカしないで・・・・雫さんと言ったけ、渚と一緒にいるの大変でしょ」
「おい、
「いえいえ、渚は優しいですよ。いつも、私を助けてくれますし、それに本当の友達は渚だけですから。あ、王子様とその・・・・友達からで始めて良いですか?」
「ん、俺でよければ・・・・後その~王子様って止めて貰えませんか?名前で呼んで━━━」
「えっ、そんな!王子様は王子様ですよ」
雫はこの世の終わりみたいな絶望的な表情をしていた。折角の美人の顔が台無しでホラー映画の貞子みたいだ。
渚が王子たかしの肩を叩き、目線で『諦めろ。雫を泣かすヤツは許さん』と訴えてる。
「はぁ、分かりました」
「ほら、着いたよ」
「兄さん、お帰りなさい」
「あぁ、ただいま。今日は珍しいお客さんだよ」
「杏璃さんに・・・・えっ!渚・・・さん」
「よっ、久しぶりだな。杏」
杏と渚がお互いにジーーっと見つめ合い、二人だけの世界を展開されていた。
「はっ!わ、私夕飯の手伝いに戻ります。兄さん買い物ご苦労様でした」
ビューンと奥に引っ込んだ後、渚が注目の的になった。
「渚よ。分かってると思うが・・・・」
「俺の妹には手を出すなよ?」
「なっ!何をいってるんだ。手を出す出さない以前にオレと杏は女同士だぞ!」
動揺しまくって否定はしてるが頬が真っ赤で、周りから丸分かりだ。クールビューティーな渚だが、押しに弱いようである。
「さぁ、ここにいてもしょうがないし、上がろうか」
「おい、スルーするな!違うって言ってるだろう」
みんなが上がっていく後ろ姿を追いかける渚。
「あらあらまぁまぁ、いらっしゃい。杏璃ちゃん・・・・久しぶりね。渚ちゃん」
「お邪魔します。おば様」
「ご無沙汰です。おばさん」
「お、お邪魔します」
「あら、そちらの方は?」
「オレの親友の雫です」
「初めまして、須藤雫です」
お辞儀をする雫は顔を上げた後、ジーっと母さんの顔を見ていた。
「あら、何か顔に付いているかしら?」
「あ、いえ。失礼ですが、もしかして、少女漫画家の天童・・・楓先生ですか?」
「えぇ、そうよ。もしかして、私のファン?」
「はい~、感激です。握手してください。あなたに会いたくて!愛を叫ぶ!を読みました」
母さんの楓と雫が握手をすると、何やら雫が鞄から本を取り出すと母さんの前に出した。
「あの~、これにサインをお願いします」
雫が出したのは"あなたに会いたくて!愛を叫ぶ!"と言う少女漫画の最新刊━━━━それにサインをお願いした。というか良く持ってたな。タイミング良すぎだろ。
「オレが教えたからな。もしかしたら、会えるかもと・・・・」
俺の心を読んでか渚が答える。俺ってそんなに顔に出るかな?
「えっ、自覚無かったんですか?兄さん」
キッチンにいるはずの杏までも話に参加して、俺の心を読んでみせる。だから、俺のプライバシーはどうなってるの?
「これで良いかしら?」
サッサッキュルキュルと雫に手渡された本にサインを書き返す。
「あ、ありがとうございます。一生の宝物にします」
サイン本を両手で抱きしめ、何度も頭を下げる雫。
「ご飯はもう少し待っててね。ほら、
「わ、わかったよ。席に着いて待ってて」
「なぁ、これってチャンスじゃないか?ちょうど杏もいないし、
雫の提案に杏璃と雫はお互いに見つめて目をパチクリして、考えこむ。
(タカちゃんの部屋かー。久しぶりに覗こうかな)
(お、王子様の部屋・・・王子様の部屋に行きたい)
二人共にコクコクと頷き、音を立てずにソロリソロリとダイニングを後にした。
「・・・・こそこそ、よしここだ」
ギィィーと
「こ、ここが王子様の部屋・・・・予想以上に凄い」
「すべて童話関連の物ばかり・・・・素敵です」
雫の発言に杏璃と渚の二人は「えっ、マジ!」と驚く。まぁ、この二人も人の事を言えないが。
「うん?これは━━━」
「どうしたの?」
「まさか、あの王子たかしがアルタイルを持っているとは!」
ベッドの上に置いてあったアルタイルを見つけ驚く。
「なんか最近買ったみたいでさ。何のゲームをやってるか教えてくれないんだよね」
「もしかして、GWOではないかしら?こんなに童話好きならあり得るかと」
二人の話を聞いてた雫が正解を導きだした。
「「それだ!」」
「な、なんで気づかなかったんだろう。悔しいー、私もやってんのに」
「うふふふっ、それなら皆でやりませか?王子様にはサプライズにして」
その場で
「おい、そこで何をしてる!」
「あっ、タカちゃんに見つかちゃった。てへペロッ」
てへペロッじゃない!何勝手に人の部屋に入ってるんだ!物静かそうな雫さんまで巻き込むんじゃない。
「雫も乗り気だったよな」
声に出してないのに、そんなに顔に出てるのか?何か知らないが悔しい。
「す、すみません。悪いとは思いまたが、好奇心に勝てませんでした。て、てへペロッ」
物静かそうな(
「何で私もやったのに、こうも反応が違うの!ぶぅぶぅ」
杏璃が抗議してくるが、
「ぷっくくくくっ、
渚の言葉で四人はダイニングに行き、席に座って雑談しながら夕食を楽しむのであった。雫が
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