赤ずきん5
お料理が出てくる間、猟師さんと二人きりになった。シャルルはお母さんの手伝いで奥に行ってしまった。
(とても気まずい。さっきから猟師さんが何故か睨んでくるんだもの)
先に口を開いたのは猟師の方である。
「君は赤ずきんちゃんの何なんだ?これか?」
猟師が右手の親指を立てて怖い形相で迫ってくる。
「いえ、まだですが━━━」
「まだということは、いずれかかね。赤ずきんちゃんは可愛いいからな。わかるぞ、その気持ち」
タンっと猟師に肩を叩かれた。微妙に痛い。
「赤ずきんちゃんの反応を見るところ、君の事が好きなんだろう。もし、泣かしたら....君を撃ち殺すからね」
怖っ怖いよ。この人、父親じゃないはずなのに、なんか実の親みたいな━━━いや、違うな。アイドルのファンや追っかけみたいな感じだ。
そう考えると猟師の事を急に気持ち悪いと感じてしまった。この人ロリコンなのか。よし、ロリコン決定だ。
「あの~、猟師さんってロリコン何ですか?」
「なにっ!ワシがか。ち、違うぞ。ワシが好きなのは━━━」
「好きなのは....なんだ?」
「好きなのは....コソコソ....赤ずきんちゃんの母の方だ」
内緒話するように王子たかしの耳に口を近づけ、コソコソと話した。
まぁ~、予想はしてたから別に驚きはしなかった。
ただし、シャルルの母の方も外見と年齢がギャップがあり、初めて見た時はシャルルの姉だと思ってしまった。
事前に母と二人暮しと聞いていても、シャルルと姉妹と間違うほど外見と年齢が釣り合わない。
猟師さんはシャルルの母が好きだと言うけれど、外見があれだ。なので、猟師さんのロリコン疑惑はれた訳ではない。
「何か、失礼な事考えていないか?」
「ん、考えてないですよ」
猟師だけに勘は鋭いみたいだ。
「お互いに好きな人がいるんです。お互い頑張りましょうと思っただけです」
「そ、そうか。お、来たようだぞ」
「お、お待たせしました。熱いのでお気をつけて」
木のトレーが運ばれてきた。
どうやら熱々のグラタンのようだ。
「ふふふふっ、シャルルったら王子様のために張り切っちゃて作ってる最中、二人のノロケ話を聞かされて、こっちの方が赤くなりましたわ」
「ごふっゴホゴホ」
シャルルの母の急な暴露に咳き込む
「マ、ママ!い、言わないでよ。もうっ!」
「あら、良いじゃないの。王子様も満更ではないようだし、シャルル良かったじゃない」
「うーうー」
涙目で母を睨むシャルルは俺にチラチラと見て『た、助けて』と視線で訴える。これに応じようとするが━━━
「まぁまぁ、お義母さんもそのくらいにして」
「あらあらまぁまぁ、お義母さんだって嬉しいわ。まるで、息子が出来たみたいで。これからもシャルルの事よろしく頼みますわね」
どうやら相手の方が一枚上手のようだ。どんな事言っても返されるような感じがする。
俺は何か言おとするが猟師さんが俺の肩を叩き、これ以上は無理だ諦めろと首を横に振った。
「さぁさぁ、話はこれくらいにして冷めない内に召し上がれ」
「「「「いただきます」」」」
グラタンの他にも籠に入ったパンにマッシュドポテト、飲み物は赤ワインだ。
俺はまだ16歳なので、お酒はまだ飲んだ事ないのだが美味しいのだろうか?
「あの~、お酒はちょっと....」
やはり、ゲームの中でも未成年だし他の飲み物に変更しようと頼むが━━━
「君は何歳かね?」
「じ、16歳です」
「それなら飲める年ではないか。それとも、飲んだことないのかね?何事にもチャレンジだよ」
猟師さんに強制的に飲まされるが、初めて飲んだと思えない程に美味しかった。ここがゲームの中だからだろうか?
「おぉ、良い飲みっぷりではないか。ほれほれ、どんどん飲め飲め」
普通は日本酒やビールなら、一気に飲む事はあるだろうが、今飲んでるのは赤ワインである。一気に飲む代物ではない。
「ほら、ワインばかり飲んでないで食べなさいな。このグラタンはシャルルの自信作なのよ。きっと王子様も気に入ると思うわ」
「いや~、グラタン大好物なんですよ」
チーズがとろけた箇所とこんがりと焼けた箇所があり食欲をそそる。チーズ好きならたまならいだろう。
「んっ!!お、美味しい!家で作るより美味しいです」
どうやらシーフードグラタンのようで、プリプリの海老に種類は不明だが白身魚とホワイトソースが実に良く合う。シャルルのおばあちゃんの家で食べたシチューよりも美味しい。
ゲームなのに、味覚や嗅覚の再現が凄すぎる!
後、女性に嬉しいことがある。それは....ここはゲームの中なので、いくら食べても太らないことだ。
ただし、バラメータに空腹度があり、ゲージを振り切る程食べると現実と同じく食べ過ぎたと感じ動けなくなるので注意が必要だ。
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