第8話 欲望には切りがない

「モグ、ちょっと相談があるんだ」

「なによ」

「うん。『天網恢々疎にして漏らさず(sigh with love)』という小説があるんだ」

「知ってるわよ。私でてるでしょ。脇役だったけどね!あのまだ印税貰ってないんですけど」

「印税入るほど読まれてないもん」

「なにしてるのよ!しっかり掻きなさいよ」

「掻きなさいになってる。どっか痒いの?」

「そう。しっぽの先。なんでこんなの付いているのかしら?知ってる?」

「知らないけどなんか意味があるんじゃないの?ハエを追い払うとか?」

「私は牛か?で、相談ってなによ?」

「うん、この小説よりあっちの方が評判いいんだ」

「え???」

「それでこっちの小説をあっちの小説に吸収合併させようかなと思ってる」

「……」

「……」

「……」

「懲りない男ね。どうして目先の利益に飛び付くの?それなら完結してからでもいいんじゃない?」

「そうなんだけれどPVを稼げるうちになんとかしたいんだ」

「……題名はどうするの?」

「天網恢々はやめて、『モグだONE(ワン)』にする」

「いいわね。賛成。私の名前が入るのね」

「そう?いい?天網恢々って意味よく分からないし、格好いいかなあと思って付けたのよ……ONEが上手くいけばTWOで続編が書ける」

「でも待ってよ。モグだONEになったら『モグ』は終わるの?」

「そうだね。あっちの話が主流になるね」

「じゃ、反対。どうしても合体させたいなら完結してからにして!」

「どうして?もともとストーリー性ないじゃない」

「まあ、失礼。6000字過ぎた今からが落ちに向けての話になっていくんじゃないの!」

「まあ、そのつもりだったけど……」

「でしょう。もったいない!PVは時の運」

「そうかなあ。モグを信用していいのかな」

「私は信用一番で商売していますから。いや本当に!」

「どっちにしてもモグ頼みだもんなあ……」

「あんたお風呂に入ってお湯を手で押してみなさい。お湯はみんなあなたを避けて流れていくわ。今度はお湯を手元に引いてみなさい。お湯はあなたの体を温めてくれるわ。私が何を言いたいか分かるわよね?」


「う……。どういうこと? あ、さてはお風呂に入りたいんだな?」

「いやよ。それよりしっぽをなんとかしてよ! 次回 別居中の妻・美里登場!読んでね!!!」

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