第6話
編入する高校を決めた私は母に伝えようと部屋を出る。
前世と同じ立地に建っているものの、建物の様子は大分違っていた。
今住んでいる家は自宅兼母の病院となっている。
母は前の世界ではスーパーの惣菜売場で働いていたけれど、この世界では「甦り」の力を生かして総合病院の整形外科で働いた後、美容整形の女医として開業したらしい。
この世界での母は相当な名医で有名人なんだ。
(実は私が運ばれた病院は前に母が働いていた病院で、私を見てくれた女医さんは母と同期だったらしい)
そんな事情を抱えたこっちの世界での我が家はとても広く、母の部屋も2つ有るため、母までたどり着くにも一苦労だった。
記憶を頼りに廊下を進む。
そして一つ階段を降りて病院エリアを5分程進めば母の仕事部屋にたどり着く。
コンコン
………………………。
コンコン
「お母さん??居る~??入るよ~??」
………………………。
返事が無いから居ないとは思うけど、確認のために少し開けて覗いてみた。
するとーー。
母は夢中になって"魔力紙"を作っていた。
「愛美??ちょっと待ってね。今一番気力居る所やってるから!」
縦横10センチ位の正方形の紙に少し血を垂らしている所だったーーー。
前世では勿論、現世の記憶でも魔力紙を作っている所は見たことはなかったのて少し驚く。
「こっちにいらっしゃい。魔力紙の作り方、見てて。」
そう母に言われて母の側へ近づく。
血を垂らした紙が淡い光に包まれている。
その淡い光に母の手が触れると一層強く光だし、その光は全て正方形の紙に吸い取られて行った。
「これで魔力紙の完成よ。」
「お母さん、指の出血って…。自分で切るの!?」
恐怖を感じて思わす聞いてしまう。
「大丈夫よ。専用のナイフを少し当てるだけだし、痛みも全く無いのよ。それに血液に見えたのは血液に含まれる魔力の結晶の様な物で、血ではないの。それに魔力の結晶の色は人それぞれ違ってて、たまたまお母さんのが赤くて血液に見えただけなのよ。」
「そ·そうなんだ…。ちょっと所じゃないくらい驚いたよ…。」
「ちょうど未開封の魔力紙作製用ナイフがあったから、ちょっとやってみる??」
そう母に誘われて恐怖より好奇心が先行してためしてみることにした。
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