2話.科学者が機械になる話〈天才編〉
そして、
ああ、思い出した。あまり女性らしさの感じられない
そして、もう一人。
「ねぇ、
「はいっ!染毬ちゃん、単刀直入に聞かせてください!染毬ちゃんは照望さんの過去の女なんですか!」
…………染毬ちゃん。
この瞬間、
「まぁ、表現の使用によっては昔の女なのかもしれないですわ」
「じゃあ、二人の間に何があったか教えてもらおうじゃあないの!」
興味津々に清香さんが、
「何故、取り調べの口調ですわ!」
こうして、
語るに当たって、この少女と照望の監視役に対しては、言葉選びに最善の注意を払う必要がありますわ。
「さぁ、スニガー。
そんな
日本人の病弱ながらに優しい母。少し背の高いイギリス人の父が訪れる大人達に対して、私を普通の女の子だと説明していたのを私は聞いていました。私は自分自身が人よりも、ほんの少しだけお勉強が得意なだけだと思っていました。しかし、小学校と中学校を飛び級してしまうのは大人達にとって、異例なことだったらしい。
美しい日常というものは幻想であって、少しずつ消え失せて行くものなのだと幼いながらに私は知った。母を病魔が冒したのですわ。無能な医者が母に余命宣告をした━━残り半年と。父は
父が一人病院に母のお見舞いで、家を留守にしたある日。一人の大人が玄関先で、私に小さく手を振って挨拶してきた。
私は愛想程度に会釈。
玄関の横から一言。私に向かって大声をあげたわ。
「取引しないか。君のお母さんを僕たちと一緒に救おうとは思わないか」
相手にしていなかった身体が、大人の方にびくりと身震いし、私はその大人に注意を向けた。
「……ママを、助けられるの?」
私の心は揺らいでいた。きっと声も震えていたと思います。
「僕は君の秘めたる力を君以上に知っている。君ならば……お母さんを助けられる」
そう断言した大人は、黒いスーツを着た男性でしたわ。身長は高く、私からだと更に高く見えた。太陽が男性の横で、光源としての役割を果たす。その光に男性が被ると、黒髪に銀髪が混じった鋭い目付きがコチラを向いていた。
私は七歳の時点で藁をも掴む思いで、研究者である男性の口車に乗った。
その四ヶ月後。
数週間後、NBI《非営利生物学研究所》に私は加わった。私に母を助ける為に課された代償だったのかもしれないですわ。
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