9話.ですわ
人間を模された元人間━━
しかし、ある時から彼女は表舞台から姿を消滅した。出る杭は打たれるのだ。彼女の場合は、打ち付けられた場所が腐っていた。
私が光世橋女学院に出向いている間、人間を模したソレ━━王色 染毬は三階の私の部屋に座っていた。染毬は無言で私の寝床に横たわる清香の手を握ったまま目を閉じる。
「脈拍正常。異常なしだわ」
「彼を調査する為にわざわざ、……ここまで来たのが天才の私の好奇心を満たすためが故なら仕方がないですわね」
約一日、意識を失っていた清香がゆっくりと瞼を開いた。清香は純白のシーツを、フワリと掛けられた我が身を目視する。扉から吹き込む隙間風が
「あーーーー。……はぁ」
「叫ばないのかしら?」
染毬は統計的に、警視庁からの監視者が絶叫するのではないかと予測していたが、短い吐息を漏らす彼女の反応に疑問を抱くのみだった。天才の彼女も人間の行動パターンまでは、推測しかねるのかもしれない。
「……まぁ。しょうがないのかなぁって、思ってね。そりゃあ、
清香は、
「涼川……照望には貴方は何もされていないですわ」
「……え?」
「貴方の貞操を奪えるほど、この建物の
「えええええぇ!じゃあ、逆に何で
「最終的には、……叫ぶのですわね」
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