探偵魔石メアリウド

@mstk147abc

魔石1個 プロローグ

 あたし、ラクサーリァ。ラクサーリァ・オフタ・ダヌリヤーニナ。

 覚えにくい名なので、ラキルと呼ばれているの。

 魔法の国【エンデルドラ】。そこが、あたしの生まれ故郷。魔力発動源は、魔法石で、人間が大切に持つ――つまり管理するとその人間に魔力は宿るという。

 エンデルドラは、北東北地区の緑地帯。そこがあたしの生地【キリラナ】。

 キリラナにまつわる伝説の土地【未踏森林山道】。あたしが4、5歳の時に一度だけ行ったピクニックスポットなの。

 父さん母さんとそしてあたしの三人だけの思い出のピクニックだったわ。

 あたしは、山道の中腹あたりでキラキラな輝きに誘惑されて、幼いながらも山道脇の茂みに潜ってはキラキラの正体の光る石を獲得したわ。それも両親に内緒にしてポケットにしまって家まで持ち帰った。


 母さんが深緑空気圧病で倒れ、五体それぞれに合併症を起こして天に召されていっちゃったわ。

 それから4年後。滞留指定物件として、魔力不法利用審議委員会がダヌリヤーニナ家にやってきて、魔力滞留土地指定になって、父さんが逮捕されたわ。

 原因は、あたしが隠し持った光る石があたしに感応して発動したことから、魔石と鑑定され不法所持容疑として父さんが連行。あたしは、代行保護者となる家に養護された。


 光る石は撤去処分されたのに、あたしとの感応能力値が高くなって、魔力反応で魔石鑑識所から自在に飛翔してきたわ。

 でも、鑑識所所員には目撃対象にならないまま、光る石はあたしの胸の下にぶら下がってるの。ネックレスとしてね。

 この魔石は、あたしの考えた名前……メアリウドの名が刻まれたわ。こうしてネックレスの飾り石になってから2年の歳月が過ぎていった――。

 代行保護者の家名をもらってからは、あたしは、ラキル・マノアーグの名で暮らした。

 【思い出】という過ぎし日を、風と共に任せて忘れるよう努力してみせた。

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