少しだけ官能的に
「お姉ちゃん。どうして下に降りてきたの?」
「その。……そわそわしすぎて、もう我慢できないなって。……だから、もう行こ」
現在時刻は8時。
水族館が9時から開場することを考えても、別にこの時間に家を出てもむしろ丁度いいくらいの時間帯に到着する。
だけど、
「えっと。お姉ちゃん、その気持ちは分かるけど、『春休みのしおり』とかに10時までは家にいましょうとか書いてなかったっけ?」
「え。てんちゃん、そんなの守るタイプの人なの?」
「え! あれって守らなくていいの!?」
「うん。いいよ」
なるほど。
守らなくていいって言うのは初耳だ。
じゃあ、もう出発してもいいっかな。
「知らなかった! じゃあ、行こうよ! 私、てっきり10時まで行けないかと思ってた!」
「うん」
お姉ちゃんは一瞬、不気味な笑みを浮かべていたような気がしたけど、すぐにパーッとした明るい笑顔になる。
そういえば、服選びは終わったのかな。
そう思って聞いてみる。
「ねね。お姉ちゃん。服は決まった?」
「なな! 何故それを!」
「あー。さっき覗いた時に、見ちゃったんだよね」
「ふ、ふーん。ま、まぁ可愛いのにした」
「……じゃあ着替えて再び、ここに集合! 持ってくものを準備してね」
※※※※※※
8時20分。私達は、リビングに集合した。
私の服は、外食に行った時に着たのと同じ、白いブラウスとベビーピンクの長スカート。
遊びに行くのだから、これくらいの派手さの服でもいいだろうと思う。
対してお姉ちゃんは、黒いショートパンツに白いシャツ。
確かに可愛い。
けど意外にもシンプルだ。
気になるのは、ショートパンツのせいで綺麗な足がさらけ出ていること。
お姉ちゃんに抵抗感は無いのかな。
「てんちゃんは、前と同じなんだね。可愛い」
「お姉ちゃんも可愛いじゃん。えいっ」
ちょっとだけ、お姉ちゃんの足の触り心地が気になったので、不意をついて指先で触ってみる。
もちってした。
おぉ。肌を大事にしていらっしゃる。
「て、てんちゃん! 急になに! やっと、てんちゃんもその気に──」
「あ、ごめん。ちょっと柔らかそうだったからつい」
「ふーん。じゃあ、私も──」
そう何かを小声で言ったお姉ちゃんは、私のロングスカートをさっとめくり、高速でそこに手をいれた。
「ひゃっ!」
太ももを摘まれる。
次に手のひらを添えられ、まんべんなく触られる。
「ちょっ! おねっ、や、やめっ!」
「もう。てんちゃん可愛い。もっと触ってあげるね」
もう片方の手も、私のスカートの中にいれて両方の足を、撫でるように触られる。
……でも。
ちょっと。気持ちいかも。
なんかふわふわした気分に陥っちゃう。
って、何考えてんだ私!
「お姉ちゃん! やめなさい!」
「やめろって言う割に、なんで抵抗しないの?」
その言葉にハッとして、私は退く。
「お姉ちゃんめ。私をいじめて楽しいか?」
「その割には顔を紅潮させてるけど」
「う、うるさい! じゃあ、行くよ!」
無理やり話題を終わらせ、カバンを手に取って私たちは家を出た。
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