ゼロ番目の発見者 4

 刑事さん達は聞き込みで得た情報を振り返ります。


「先輩、あの被害者の浮気癖って相当みたいですね」


「まったく、ある意味羨ましい限りだな。まあ、仏さんに嫌味を言うつもりもねえが」


「いや、もう充分嫌味ですよそれ。はあ……それにしても容疑者がざっと10人以上もいるなんて……どっから手を付けます?」


 若干の困惑を見せる高島平さん(仮)。


 神様は耳元でささやきます。


「わたしが犯人を教えてあげる」


 しかし何も反応がありません。


「わたしが凶器の場所も犯行の証拠も全部教えてあげる」


 やはり高島平さん(仮)は無反応です。


「だあー! やっぱり全然反応してくれないじゃないのー! どうしろっていうのよー!!」


 当然です。今の神様は本調子では無いのですから。


 それに高島平さん(仮)の持つ霊感が元々弱いことも拍車をかけているのでしょう。


「…………」


 神様は高島平さん(仮)の耳をじーっと見つめます。


 一体どうしたのでしょうか。


「それにしても高島平さん(仮)って、耳の形も素敵……チュッ!」


 神様、一体何をやっているのですか?


「はっ! わたしとした事が、つい好きな人のリコーダーを舐める小学生男子のような事をしてしまったわ!!」


 まったく、本当に何をやっているのですか神様は……。


 そして、神様の浅はかな行為がとんでもないことを引き起こしてしまうのです――。

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