天真爛漫な妹神 3

 ヒイラギは無垢な笑顔で一枚のぺら紙を掲げます。


「じゃーん! 見て見て姉様ー!!」


 それはポップなデザインで描かれた神様の姿。


「なにこれ?」


「姉様がステキな神職様と出会えるように、宣伝ポスターを作ったのです。ふふん、ヒイラギ史上渾身の出来ですよ」


 因みに絵の神様から吹き出しが伸びています。


「えーっと? なになに……」


『私ー、とっても寂しがりやなウサギさん。でも本当は神様なの。どっかにステキな神職さんいないかなー?』


 そしてキャッチコピー『神職募集!!』


「ちょ! これじゃあ私が尻軽みたいじゃないの!」


「え?」


「なにそのキョトンとした顔! いい? 神ってのはね、力を安売りするものじゃないのよ!」


 神様はポスターをひったくるとビリビリに破ります。


「ああ~! ヒイラギ史上渾身の出来がー!!」


「くだらない事やってないで、さっさと帰りなさい!」


「姉様ぁー!」


 ヒイラギは落胆します。……が、すぐに立ち直り不敵な笑みを浮かべます。


「実はもう一枚あったりして」


 懐から同じポスターを取り出すと、神様の顔前でひらひらと見せびらかします。


「な! それもよこしなさい!」


 神様は再度ひったくると、ビリビリに破ります。


 しばらくそんな攻防が続くのでした。

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